ボイル・シャルルの法則とは
気体の圧力・体積・温度の関係を表す基本法則です。危険物の蒸気や容器内の圧力変化を考えるうえで重要で、甲種・乙種の物理・化学分野で出題されます。「ボイルの法則」と「シャルルの法則」を組み合わせたものが「ボイル・シャルルの法則」です。
それぞれの法則の式と意味
- (1) ボイルの法則:温度が一定のとき、一定量の気体の体積 V は圧力 P に反比例する(PV = 一定、P₁V₁ = P₂V₂)。(北海道大学「化学概論」PDF・気体/ボイルの法則)
- 圧力を2倍にすると体積は1/2になる、というイメージです。
- (2) シャルルの法則:圧力が一定のとき、一定量の気体の体積 V は絶対温度 T に比例する(V / T = 一定、V₁ / T₁ = V₂ / T₂)。(北海道大学「化学概論」PDF・気体/シャルルの法則)
- 温度(絶対温度)が2倍になると体積も2倍になります。
- (3) ボイル・シャルルの法則:一定量の気体では PV / T が一定になる(P₁V₁ / T₁ = P₂V₂ / T₂)。(東邦大学「ボイル‐シャルルの法則」)
- (4) 複合計算では P₁V₁/T₁=P₂V₂/T₂ に既知の値を代入し、求める量だけを残す。圧力・体積の単位は両辺でそろえ、温度は必ず絶対温度を使う。(東邦大学「ボイル‐シャルルの法則」)
絶対温度への換算
(5) ボイル・シャルルの法則の計算で使う温度は摂氏(℃)ではなく絶対温度(K)であり、試験計算では T [K] ≒ t [℃] + 273(厳密には273.15)で換算する。(北海道大学「初等熱力学」PDF・3.1 状態方程式)
- 例:0℃ = 273K、27℃ = 300K、100℃ = 373K
「温度を使うときはまずKに直す」を計算の第一歩にすると失点を防げます。
計算例
例1(ボイルの法則)
27℃で圧力1.0×10⁵Pa、体積2.0Lの気体を、温度を変えずに圧力2.0×10⁵Paまで圧縮すると体積は何Lになるか。
- P₁V₁ = P₂V₂ より、1.0×10⁵ × 2.0 = 2.0×10⁵ × V₂
- V₂ = (1.0×10⁵ × 2.0) ÷ (2.0×10⁵) = 1.0L
圧力を2倍にしたので体積は半分になります。
例2(ボイル・シャルルの法則)
27℃、体積3.0Lの気体を、圧力を一定に保ったまま87℃まで加熱すると体積は何Lになるか。
- まず絶対温度に換算:27℃=300K、87℃=360K
- 圧力一定なのでシャルルの法則 V₁ / T₁ = V₂ / T₂ を使う
- 3.0 / 300 = V₂ / 360
- V₂ = 3.0 × (360 ÷ 300) = 3.6L
摂氏のまま「27→87で約3.2倍」などと計算すると誤答になります。必ず絶対温度で比を取る点が試験のポイントです。
理想気体の状態方程式との関係
ボイル・シャルルの法則で「一定」となる PV / T の値は、気体の物質量 n に比例します。これを式にしたものが理想気体の状態方程式です。
- (6) 理想気体の状態方程式は PV = nRT(P:圧力、V:体積、n:物質量 mol、R:気体定数、T:絶対温度)である。(北海道大学「熱力学」PDF・1.1.2 理想気体の状態方程式)
物質量 n が一定なら nR は定数なので、PV / T = nR = 一定となり、ボイル・シャルルの法則に一致します。つまりボイル・シャルルの法則は、状態方程式で n を一定にした特別な場合と考えられます。
混合気体と分圧
- (7) 混合気体中の各成分が、同じ温度・同じ体積で単独に存在すると仮定したときに示す圧力を、その成分の分圧という。(北海道大学「熱力学」・ダルトンの法則%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87%20(%E5%88%86%E5%9C%A7%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87%20law%20of%20partial%20pressure)))
- (8) 反応しない理想気体の混合気体では、全圧は各成分気体の分圧の和になる。これをドルトンの分圧の法則という。(北海道大学「熱力学」・分圧の法則)
- (9) 理想気体では、成分iの分圧 pᵢ は全圧Pにモル分率xᵢを掛けて pᵢ=xᵢP で求める。モル分率は成分の物質量を全物質量で割った値である。(北海道大学「熱力学」・モル分率と分圧)
- (10) 温度一定で、圧力Pᵢ・体積Vᵢの各気体を体積Vの容器に混合するとき、各分圧は pᵢ=PᵢVᵢ/V となり、全圧は Σ(PᵢVᵢ)/V で求められる。(北海道大学「熱力学」・混合気体の加成性)
混合気体の計算例
温度一定で、6気圧の酸素10Lと1気圧の窒素60Lを30Lの容器に入れる場合、酸素の分圧は2気圧、窒素の分圧も2気圧となり、全圧は4気圧です。
- 酸素:6×10÷30=2気圧
- 窒素:1×60÷30=2気圧
- 全圧:2+2=4気圧
出典・参考
- 一般財団法人消防試験研究センター 甲種危険物取扱者試験・公開問題(混合気体の全圧計算の出題例)
- BIPM SI Brochure(圧力・温度・物質量に用いるSI単位の定義)
※各問題の数値条件は問題文に明示し、単位をそろえて計算します。