硝酸

最終更新日: 2026-09-03

硝酸(HNO₃)とは

硝酸は消防法上の第6類(酸化性液体)です。それ自体は通常燃えませんが、強い酸化力をもち、可燃物との混触で火災を助長するおそれがあります。厚生労働省のモデルSDSでも、酸化性液体・金属腐食性物質として分類されています。

(1) 第6類酸化性液体の指定数量は 300 kg です。e-Gov「危険物の規制に関する政令」別表第三

乙6で実際に問われる基本性状

消防試験研究センターの乙種第6類公開問題では、硝酸について、色、熱・光による分解と変色、水との混和性、銅・銀との反応、濃硝酸による鉄・アルミニウムの不動態化が同じ問題で問われています。したがって、この5点は優先度が高い範囲です。

希硝酸と濃硝酸の違い

試験で特に重要なのは、金属との反応が濃度によって変わる点です。

比較希硝酸濃硝酸
酸性強酸性強酸性
酸化性強い強い
鉄・アルミニウム腐食・溶解が進む不動態を形成して反応が抑えられる
銅との代表的反応で生じる窒素酸化物NO(一酸化窒素)NO₂(二酸化窒素)

(7) 濃硝酸では鉄やアルミニウムが不動態となり、腐食反応が著しく抑えられます。 消防試験研究センター「乙6公開問題」問32 総務省消防庁「鉄(粉)」

なぜ濃い硝酸の方が鉄・アルミニウムを溶かしにくいのか

「濃い酸だから必ず強く溶かす」とは限りません。濃硝酸の強い酸化作用により金属表面に保護性のある皮膜が形成され、内部の金属と硝酸との反応が抑えられます。この状態が不動態です。

J-STAGE掲載の高純度アルミニウム・鉄の腐食研究では、鉄の腐食量は硝酸濃度37〜40%付近で大きく、55%以上では急激に減少し、不動態化によるものと説明されています。試験では具体的な濃度境界の暗記より、「希硝酸では溶け、濃硝酸では不動態」という対比を優先します。日本金属学会誌「硝酸濃度による高純度アルミニウムと鉄の腐食速度」

銅との反応:NOとNO₂

(8) 高校化学で扱う代表反応では、銅と希硝酸の反応では主に NO(一酸化窒素)、濃硝酸では主に NO₂(二酸化窒素)が生じます。東北大学金属材料研究所「腐食の解説」

火災予防・消火での注意

(9) 硝酸は強い酸化剤で、可燃性・還元性物質と激しく反応します。厚生労働省「硝酸 SDS」第2項・第10項

貯蔵・取扱い

その他の性状

試験での押さえ方

  • 硝酸は不燃性だが強酸化性。
  • 無色系の液体で、熱・光で分解して変色する。
  • 水と任意の割合で混合する。
  • 銅・銀を溶かす。
  • 濃硝酸 + 鉄・アルミニウム → 不動態。
  • 銅との代表反応は 希硝酸 → NO、濃硝酸 → NO₂。
  • 貯蔵・取扱いでは換気、禁忌物質との隔離、容器材質を区別する。
  • 第6類一般は水系消火剤が基本だが、物質ごとの水反応性と消火方法を確認する。

出典・参考(2026-09-03確認)

硝酸に関する問題