物質の三態
物質は温度と圧力に応じて固体・液体・気体の3つの状態(三態)をとります。危険物では「液体が蒸気になる」「固体が融けて蒸発する」という状態変化そのものが燃焼のしくみに直結するため、名称と熱の出入りを正確に押さえます。
三態と状態変化の名称
| 変化 | 名称 | 熱の出入り |
|---|---|---|
| 固体 → 液体 | 融解 | 吸熱(融解熱) |
| 液体 → 固体 | 凝固 | 発熱(凝固熱) |
| 液体 → 気体 | 蒸発(気化) | 吸熱(蒸発熱・気化熱) |
| 気体 → 液体 | 凝縮(液化) | 発熱(凝縮熱) |
| 固体 → 気体 | 昇華 | 吸熱(昇華熱) |
| 気体 → 固体 | 凝華(昇華と呼ぶこともある) | 発熱 |
- (1) 状態変化は融解・凝固・蒸発・凝縮・昇華・凝華の6つで、固体→液体→気体の向き(融解・蒸発・昇華)はいずれも吸熱、逆向きはいずれも発熱である。OpenStax「Phase Transitions」
- (2) 常温常圧で昇華する物質には、ドライアイス(二酸化炭素)、ヨウ素、ナフタレン、しょうのう(樟脳)がある。OpenStax「Phase Transitions」
三態の性質の違い
| 状態 | 粒子の配列 | 形 | 体積 | 圧縮 |
|---|---|---|---|---|
| 固体 | 規則的に並び、位置を変えない | 一定 | 一定 | ほとんどできない |
| 液体 | 接しているが位置を変えられる | 容器による | ほぼ一定 | ほとんどできない |
| 気体 | 離れて自由に運動する | 容器による | 容器いっぱいに広がる | できる |
- (3) 固体は粒子が規則的に配列して位置を変えず、液体は粒子が接しつつ動け、気体は粒子が離れて自由に運動する。気体だけが大きく圧縮できる。OpenStax「Intermolecular Forces」
沸点・融点と圧力
- (4) 沸点とは、液体の蒸気圧が外圧(大気圧)と等しくなる温度である。外圧が下がれば沸点も下がり、外圧が上がれば沸点も上がる。高山で水が100℃未満で沸騰するのはこのためである。OpenStax「Phase Transitions」
- (5) 蒸気圧は温度が上がると大きくなる。蒸気圧が大きい(=蒸発しやすい)液体ほど、同じ温度で高い蒸気濃度になるため引火しやすい。OpenStax「Phase Transitions」
- (6) 状態変化の途中では、加えた熱が状態変化に使われるため温度が変わらない。この熱を潜熱(融解熱・蒸発熱)という。水の蒸発熱が大きいことが、水による冷却消火が有効な理由である。OpenStax「Phase Transitions」
危険物との関係
- (7) 第4類危険物の燃焼は蒸発燃焼であり、液体が蒸発して生じた蒸気が燃える。したがって沸点が低く蒸気圧が高い物質ほど引火の危険性が高い。総務省消防庁「危険物とは」
- (8) 硫黄・ろう・ナフタレンのように、固体でも融けて蒸発する(または昇華する)ものは蒸発燃焼をする。「固体だから分解燃焼」とは限らない。消防試験研究センター「丙種公開問題」
- (9) 水は比熱と蒸発熱がともに大きいため、蒸発する際に多量の熱を奪う。これが水による冷却消火の原理である。OpenStax「Phase Transitions」
試験での頻出ポイント
- 吸熱か発熱かの向きが最頻出です。固体→液体→気体はすべて吸熱と覚えます。
- 沸点は「蒸気圧=外圧」の温度。外圧が下がれば沸点も下がります。
- 状態変化中は温度が変わりません(潜熱)。
- 昇華する物質(ドライアイス・ヨウ素・ナフタレン・しょうのう)は覚えておきます。
- 気体だけが大きく圧縮できます。
出典・参考
- OpenStax Phase Transitions
- OpenStax Intermolecular Forces
- 総務省消防庁 危険物とは