罰則
行政処分(許可の取消し・使用停止命令など)とは別に、法定義務や命令に違反した者には刑事罰が科されます。消防法第39条の2以下が定めており、危険物に関係する主なものを重い順に整理します。
危険物の流出等による火災危険の罪(法第39条の2・第39条の3)
| 罪 | 法定刑 |
|---|---|
| 製造所等から危険物を漏出・流出・放出・飛散させて火災の危険を生じさせた者 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
| 上の罪を犯し、よって人を死傷させた者 | 7年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金 |
| 業務上必要な注意を怠り、危険物を漏出等させて火災の危険を生じさせた者 | 2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金 |
| 上の罪を犯し、よって人を死傷させた者 | 5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
- (1) 製造所等から危険物を漏出・流出・放出・飛散させて火災の危険を生じさせた者は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処せられる。ただし公共の危険が生じなかったときは罰しない。e-Gov「消防法 第39条の2」
- (2) 業務上必要な注意を怠って危険物を漏出等させ火災の危険を生じさせた者は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に処せられる(人を死傷させたときは5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)。e-Gov「消防法 第39条の3」
主な違反と法定刑
| 違反 | 法定刑 | 根拠 |
|---|---|---|
| 承認を受けずに指定数量以上の危険物を仮に貯蔵・取り扱った(法第10条第1項違反) | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 | 法第41条第1項第3号 |
| 許可を受けずに製造所等を設置した(法第11条第1項違反) | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 法第42条第1項第2号 |
| 完成検査済証の交付前に製造所等を使用した(法第11条第5項違反) | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 法第42条第1項第3号 |
| 許可の取消し・使用停止命令に違反した(法第12条の2) | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 法第42条第1項第4号 |
| 緊急使用停止命令・使用制限に違反した(法第12条の3) | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 法第42条第1項第5号 |
| 危険物保安監督者を定めないで事業を行った(法第13条第1項違反) | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 法第42条第1項第6号 |
| 応急措置命令に違反した(法第16条の3第3項・第4項) | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 法第42条第1項第9号 |
| 貯蔵・取扱いの技術上の基準に違反した(法第10条第3項違反) | 3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 | 法第43条第1項第1号 |
| 運搬の基準に違反した(法第16条違反) | 3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 | 法第43条第1項第2号 |
| 移送の基準に違反した(法第16条の2第1項違反) | 3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 | 法第43条第1項第3号 |
| 資料提出・報告・立入検査を拒み、妨げ、忌避した(法第16条の5第1項等) | 30万円以下の罰金または拘留 | 法第44条第2号 |
- (3) 主な法定刑は、無許可設置・完成検査前使用・使用停止命令違反・保安監督者の未選任・応急措置命令違反が6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、貯蔵取扱基準違反・運搬基準違反・移送基準違反が3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、立入検査の拒否等が30万円以下の罰金または拘留である。e-Gov「消防法 第42条・第43条・第44条」
- (4) 第41条・第42条・第43条の罪を犯した者には、情状により拘禁刑および罰金を併科することができる。e-Gov「消防法 第41条第2項・第42条第2項・第43条第2項」
両罰規定(法第45条)
- (5) 法人の代表者、または法人・人の代理人・使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても罰金刑を科する。承認を受けない仮貯蔵等(法第41条第1項第3号)については、法人に3,000万円以下の罰金が科される。e-Gov「消防法 第45条」
違反した従業員だけでなく、会社にも罰金が科される点が両罰規定の要点です。
行政処分と罰則の関係
同じ違反に対して、行政処分と罰則の両方が課されることがあります。たとえば「許可を受けないで位置・構造・設備を変更した」場合、行政上は許可の取消しまたは使用停止命令(法第12条の2第1項第1号)の対象となり、その命令に違反すればさらに刑事罰(法第42条第1項第4号)の対象になります。
- (6) 試験では、「事故直後の関係者の義務」「市町村長等が出す命令」「命令違反等に対する罰則」を時系列で切り分けると整理しやすい。行政処分と刑事罰は別の制度であり、両方が課されることもある。e-Gov「消防法 第12条の2・第42条」
試験での頻出ポイント
- 「6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」がもっとも広い受け皿です。無許可設置・完成検査前使用・命令違反・保安監督者の未選任がここに入ります。
- 貯蔵取扱・運搬・移送の基準違反は「3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」と一段軽くなります。
- 危険物の漏出等で火災の危険を生じさせた罪は、公共の危険が生じなかったときは罰しないという但書があります。
- 両罰規定により、行為者だけでなく法人にも罰金が科されます。
- 罰則の金額そのものより、「どの義務違反に対応するか」を対応づけて覚えるのが得点につながります。
出典・参考
- e-Gov法令検索 消防法 第39条の2以下
- 総務省消防庁 法令・通知等