移送の基準
(1) 移送とは、移動タンク貯蔵所(タンクローリー)で危険物を運ぶ形態です。移送するときは、その危険物を取り扱うことができる危険物取扱者が乗車し、免状を携帯しなければなりません。危険物取扱者は、移送開始前に移動貯蔵タンクの底弁・マンホール・注入口のふた、消火器等を点検します(消防法第16条の2、危険物の規制に関する規則第47条の2)。
(2) 乗車する危険物取扱者は「その危険物を取り扱うことができる」者に限られます。例えばガソリンを移送するなら、甲種、乙種第4類、または丙種の免状が必要です。免状を車内に備え付けておくだけでなく、携帯することが求められます。
移送中の保安
(3) 令第30条の2が定める移送の基準は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 移送開始前の点検 | 移動貯蔵タンクの底弁その他の弁、マンホール、注入口のふた、消火器等を十分に点検する |
| 運転要員 | 長時間にわたるおそれがある移送では2人以上の運転要員を確保する |
| 一時停止 | 休憩・故障等で一時停止させるときは安全な場所を選ぶ |
| 災害時 | 危険物が著しく漏れる等、災害が発生するおそれがある場合は応急措置を講じ、最寄りの消防機関その他の関係機関へ通報する |
| 書面の送付 | アルキルアルミニウム、アルキルリチウム等の移送では、移送の経路等を記載した書面を関係消防機関へ送付し、その写しを携帯して内容に従う |
(4) 「長時間にわたるおそれがある移送」とは、1人の運転要員による連続運転時間が4時間を超える移送、または1人の運転要員による運転時間が1日当たり9時間を超える移送です(危険物の規制に関する規則第47条の2第1項)。ただし、第2類の危険物、第3類のうちカルシウムまたはアルミニウムの炭化物およびこれのみを含有するもの、第4類のうち第1石油類・第2石油類(原油分留品、酢酸エステル、ぎ酸エステル、メチルエチルケトンに限る)・アルコール類・第3石油類・第4石油類、および動植物油類の移送は、2人以上の運転要員を確保する義務から除かれます(同条第2項)。
(5) 消防吏員または警察官は、火災防止のため特に必要があると認めるときは、走行中の移動タンク貯蔵所を停止させ、乗車している危険物取扱者に免状の提示を求めることができます(消防法第16条の5第2項)。免状の携帯義務は、この場面で実効性を持ちます。
運搬との違い
(6) 同じ道路上の移動でも、容器で運ぶ運搬とタンクで運ぶ移送では適用される基準が違います。「危険物取扱者の乗車・免状携帯」は移送、「指定数量未満にも基準が適用」は運搬、と対応させます。運搬と移送の対比表は「貯蔵・取扱い・運搬」の解説にまとめています。