所要単位及び能力単位
消火設備を「どれだけ」設ければよいかを決めるための2つのものさしです。危険物の規制に関する規則第29条が両方をまとめて定義しています。
- (1) 所要単位とは、消火設備の設置の対象となる建築物その他の工作物の規模または危険物の量の基準の単位をいう。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第29条第1項」
- (2) 能力単位とは、所要単位に対応する消火設備の消火能力の基準の単位をいう。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第29条第2項」
言い換えると、所要単位は「守るべき対象の大きさ」、能力単位は「消火設備の強さ」です。能力単位の合計が所要単位の数値に達するように消火設備を配置します。
所要単位の計算方法(規則第30条)
| 対象 | 1所要単位となる大きさ |
|---|---|
| 製造所・取扱所の建築物(外壁が耐火構造) | 延べ面積100m² |
| 製造所・取扱所の建築物(外壁が耐火構造でない) | 延べ面積50m² |
| 貯蔵所の建築物(外壁が耐火構造) | 延べ面積150m² |
| 貯蔵所の建築物(外壁が耐火構造でない) | 延べ面積75m² |
| 製造所等の屋外にある工作物 | 外壁を耐火構造とし、工作物の水平最大面積を建坪とする建築物とみなして上の2区分により算出 |
| 危険物 | 指定数量の10倍を1所要単位 |
- (3) 製造所・取扱所の建築物は外壁が耐火構造なら延べ面積100m²、耐火構造でないなら50m²を1所要単位とする。貯蔵所の建築物は耐火構造なら150m²、耐火構造でないなら75m²を1所要単位とする。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第30条第1号・第2号」
- (4) 危険物は指定数量の10倍を1所要単位とする。たとえばガソリン(指定数量200L)2,000Lは1所要単位である。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第30条第4号」
- (5) 製造所等の屋外にある工作物は、外壁を耐火構造とし、工作物の水平最大面積を建坪とする建築物とみなして所要単位を算出する。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第30条第3号」
覚え方は「耐火構造なら2倍の広さで1単位」「製造所・取扱所より貯蔵所のほうが1.5倍広くて1単位」「危険物は指定数量の10倍」です。
能力単位(規則第31条・別表第2)
- (6) 第5種の消火設備の能力単位の数値は、消火器の技術上の規格を定める省令によるほか、規則別表第2に定められている。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第31条」
規則別表第2は、消火器以外の第5種消火設備の能力単位を定めています。
| 消火設備 | 容量 | 対象 | 能力単位 |
|---|---|---|---|
| 消火専用バケツ | 8L(3個にて) | 電気設備および第4類の危険物を除く対象物 | 1.0 |
| 水槽(消火専用バケツ3個付き) | 80L | 電気設備および第4類の危険物を除く対象物 | 1.5 |
| 水槽(消火専用バケツ6個付き) | 190L | 電気設備および第4類の危険物を除く対象物 | 2.5 |
| 乾燥砂(スコップ付き) | 50L | 第1類から第6類までの危険物 | 0.5 |
| 膨張ひる石または膨張真珠岩(スコップ付き) | 160L | 第1類から第6類までの危険物 | 1.0 |
- (7) 消火器以外の第5種消火設備の能力単位は、消火専用バケツ8L×3個で1.0、水槽80L(バケツ3個付き)で1.5、水槽190L(バケツ6個付き)で2.5、乾燥砂50L(スコップ付き)で0.5、膨張ひる石・膨張真珠岩160L(スコップ付き)で1.0である。e-Gov「危険物の規制に関する規則 別表第2」
- (8) 水バケツ・水槽の能力単位は「電気設備および第4類の危険物を除く対象物」にしか与えられていない。第4類の火災には乾燥砂や膨張ひる石・膨張真珠岩を用いる。e-Gov「危険物の規制に関する規則 別表第2」
必要な能力単位の求め方
- (9) 「著しく消火困難」にも「消火困難」にも当たらない製造所等では、第5種の消火設備を、その能力単位の数値が建築物その他の工作物および危険物の所要単位の数値に達するように設ける。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第35条第3号」
- (10) 第1種から第4種までの消火設備を設けるときは、その放射能力範囲内の部分について、第5種の消火設備を所要単位の数値の5分の1以上の能力単位となるように設ければ足りる。消火困難な製造所等でも、第4種に加えて設ける第5種は所要単位の5分の1以上でよい。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第34条第2項第1号・第35条第3号ただし書」
計算例
外壁が耐火構造で延べ面積600m²の製造所に、ガソリン(指定数量200L)を4,000L貯蔵している場合。
- 建築物の所要単位=600 ÷ 100=6
- 危険物の所要単位=(4,000 ÷ 200) ÷ 10=20 ÷ 10=2
- 合計=8所要単位
この製造所が「その他の製造所等」なら、第5種の消火設備を能力単位の合計が8以上になるように設けます。第1種〜第4種を設ける場合は、その放射能力範囲内の部分について8 × 1/5=1.6以上で足ります。
試験での頻出ポイント
- 数値は「製造所・取扱所=耐火100m²/非耐火50m²」「貯蔵所=耐火150m²/非耐火75m²」「危険物=指定数量の10倍」の5つです。
- 「危険物は指定数量の10倍で1所要単位」を「指定数量そのもの」と入れ替えた選択肢が定番です。
- 所要単位は「対象の大きさ」、能力単位は「消火設備の強さ」。定義を入れ替えた選択肢に注意します。
- 「5分の1以上」は、上位の消火設備がある場合の第5種の緩和です。
出典・参考
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する規則 第29条〜第31条
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する政令 第20条
- 総務省消防庁 法令・通知等