消火困難な製造所等の区分
製造所等に設ける消火設備の種類は、火災が発生したときの消火の困難性で3段階に分かれます。危険物の規制に関する政令第20条第1項が枠組みを定め、規則第33条〜第35条が具体的な該当要件と設置基準を置いています。
| 区分 | 根拠 | 設置する消火設備 |
|---|---|---|
| 著しく消火が困難と認められる製造所等(+移送取扱所) | 政令第20条第1項第1号、規則第33条 | 第1種・第2種または第3種のいずれか + 第4種 + 第5種 |
| 消火が困難と認められる製造所等 | 政令第20条第1項第2号、規則第34条 | 第4種 + 第5種 |
| 上記以外の製造所等 | 政令第20条第1項第3号、規則第35条 | 第5種のみ |
- (1) 消火設備の設置基準は、著しく消火困難(第1種〜第3種のいずれか+第4種+第5種)、消火困難(第4種+第5種)、その他(第5種のみ)の3段階である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第20条第1項」
- (2) 移送取扱所は、規模にかかわらず常に「著しく消火が困難」の区分として扱われ、第1種〜第3種のいずれかと第4種・第5種を設置する。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第20条第1項第1号」
対象となる施設の範囲
政令第20条第1項が判定の対象として掲げる施設は限られています。
| 区分 | 判定の対象となる施設 |
|---|---|
| 著しく消火困難(第1号) | 製造所、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、屋外貯蔵所、給油取扱所、一般取扱所(+移送取扱所は常に該当) |
| 消火困難(第2号) | 上記に加えて第二種販売取扱所 |
- (3) 「著しく消火困難」の判定対象は製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・屋外貯蔵所・給油取扱所・一般取扱所で、「消火困難」の判定対象にはこれらに第二種販売取扱所が加わる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第20条第1項第1号・第2号」
- (4) 第二種販売取扱所は必ず「消火困難な製造所等」に該当する(規則第34条第1項第5号)。第一種販売取扱所は判定対象に含まれないため、第5種のみでよい。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第34条第1項第5号」
著しく消火困難な製造所等の主な要件(規則第33条第1項)
| 施設 | 該当する主な要件 |
|---|---|
| 製造所・一般取扱所 | 指定数量の100倍以上を取り扱うもの、延べ面積1,000m²以上のもの、高さ6m以上の部分で危険物を取り扱う設備を有するもの など(高引火点危険物のみを100℃未満で取り扱うものは延べ面積1,000m²以上) |
| 屋内貯蔵所 | 指定数量の150倍以上を貯蔵・取扱いするもの、貯蔵倉庫の延べ面積が150m²を超えるもの、軒高6m以上の平家建てのもの など |
| 屋外タンク貯蔵所 | 液体危険物(第6類を除く)の液表面積40m²以上のもの、高さ6m以上のもの、地中タンク・海上タンクに係るもの、固体危険物では指定数量の倍数100以上のもの |
| 屋内タンク貯蔵所 | 液体危険物(第6類を除く)の液表面積40m²以上のもの、高さ6m以上のもの など |
| 屋外貯蔵所 | 塊状の硫黄等を囲いの内側で貯蔵するもので囲いの内部の面積が100m²以上のもの など |
| 給油取扱所 | 一方開放型で上階を有する屋内給油取扱所、顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所(セルフ型) |
- (5) 製造所・一般取扱所は、指定数量の100倍以上を取り扱うもの、延べ面積1,000m²以上のものなどが「著しく消火困難」に当たる。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第33条第1項第1号」
- (6) セルフ型の給油取扱所は「著しく消火困難な製造所等」に該当し、第3種の固定式の泡消火設備等を設置しなければならない。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第33条第1項第6号・第2項」
消火困難な製造所等の主な要件(規則第34条第1項)
| 施設 | 該当する主な要件 |
|---|---|
| 製造所・一般取扱所 | 著しく消火困難に当たらないもので、指定数量の10倍以上を取り扱うもの、延べ面積600m²以上のもの など |
| 屋内貯蔵所 | 著しく消火困難に当たらないもので、指定数量の10倍以上を貯蔵・取扱いするもの、貯蔵倉庫の延べ面積が150m²を超えるもの など |
| 屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所 | 著しく消火困難に当たらないもの(高引火点危険物のみを100℃未満で扱うもの、第6類のみを扱うものを除く) |
| 屋外貯蔵所 | 塊状の硫黄等の囲いの内部の面積が5m²以上100m²未満のもの、指定数量の倍数100以上のもの など |
| 給油取扱所 | セルフ型・一方開放型上階付き以外の屋内給油取扱所、メタノールまたはエタノールを取り扱う給油取扱所 |
| 販売取扱所 | 第二種販売取扱所(すべて) |
- (7) 製造所・一般取扱所は、著しく消火困難に当たらないもののうち指定数量の10倍以上を取り扱うもの、延べ面積600m²以上のものが「消火困難」に当たる。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第34条第1項第1号」
- (8) 消火困難な製造所等では、製造所・屋内貯蔵所・屋外貯蔵所・給油取扱所・第二種販売取扱所・一般取扱所は第4種の消火設備を放射能力範囲が建築物等と危険物を包含するように設け、第5種を能力単位が所要単位の5分の1以上になるように設ける。屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所は第4種・第5種をそれぞれ1個以上設ける。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第34条第2項」
第5種の消火設備のみを設置すればよい製造所等(規則第35条)
規則第33条第1項にも第34条第1項にも当たらない製造所等は、第5種の消火設備だけで足ります。政令第20条第1項の判定対象にそもそも掲げられていない施設は、この区分に落ちます。
| 製造所等 | 設置する消火設備 |
|---|---|
| 地下タンク貯蔵所 | 第5種の消火設備を2個以上 |
| 移動タンク貯蔵所 | 自動車用消火器を2個以上(下表参照)。アルキルアルミニウム等を貯蔵・取り扱うものは、これに加えて乾燥砂150L以上および膨張ひる石または膨張真珠岩640L以上 |
| 簡易タンク貯蔵所 | 第5種の消火設備を、能力単位が所要単位に達するように設ける |
| 第一種販売取扱所 | 同上 |
| その他(判定に該当しなかった製造所・貯蔵所・取扱所) | 同上 |
- (9) 「著しく消火困難」にも「消火困難」にも当たらない製造所等は、第5種の消火設備をその能力単位の数値が建築物その他の工作物および危険物の所要単位の数値に達するように設ける。第1種から第4種までを設ける場合は、その放射能力範囲内の部分について所要単位の5分の1以上でよい。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第35条第3号」
- (10) 地下タンク貯蔵所には、第5種の消火設備を2個以上設ける。所要単位による計算ではなく個数で決まる点が特徴である。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第35条第1号」
- (11) 移動タンク貯蔵所には自動車用消火器を2個以上設ける。霧状の強化液(充てん量8L以上)、二酸化炭素(3.2kg以上)、ブロモクロロジフルオロメタン(2L以上)、ブロモトリフルオロメタン(2L以上)、ジブロモテトラフルオロエタン(1L以上)、消火粉末(3.5kg以上)のいずれかである。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第35条第2号」
- (12) アルキルアルミニウム等を貯蔵・取り扱う移動タンク貯蔵所には、自動車用消火器のほかに乾燥砂150L以上と膨張ひる石または膨張真珠岩640L以上を設ける。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第35条第2号」
試験での頻出ポイント
- 3段階の組合せ「著しく困難=1・2・3種のいずれか+4種+5種」「困難=4種+5種」「その他=5種のみ」が出発点です。
- 移送取扱所は規模を問わず「著しく消火困難」、第二種販売取扱所は必ず「消火困難」、セルフ型給油取扱所は「著しく消火困難」。この3つは条文で固定されているので確実に得点できます。
- 第5種のみでよい代表例は地下タンク貯蔵所(2個以上)、移動タンク貯蔵所(自動車用消火器2個以上)、簡易タンク貯蔵所、第一種販売取扱所です。
- 「移動タンク貯蔵所の消火器は1個でよい」は誤り。2個以上です。
- 屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所で第6類のみを貯蔵するものは「消火困難」から除かれます。
出典・参考
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する政令 第20条
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する規則 第33条〜第35条
- 総務省消防庁 法令・通知等