製造所
製造所は、危険物を製造する目的で危険物を取り扱う施設です。製造設備だけでなく、建築物、配管、加熱設備、換気・排出設備などを一体として規制します。位置・構造・設備の技術上の基準は危険物の規制に関する政令第9条第1項に第1号から第22号まで置かれており、一般取扱所にはこの基準が丸ごと準用されます(政令第19条第1項)。
政令第9条第1項の全体像
試験で狙われるのは一部ですが、網羅の観点から22号すべてを掲げます。
| 号 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 保安距離(住居10m・多数収容施設30m・重要文化財等50m・高圧ガス施設20m・特別高圧架空電線は水平距離3mまたは5m) |
| 2 | 保有空地(指定数量の倍数10以下は3m以上、10超は5m以上。配管等は対象外) |
| 3 | 標識および掲示板を見やすい箇所に設ける |
| 4 | 危険物を取り扱う建築物は地階を有しないこと |
| 5 | 壁・柱・床・はり・階段を不燃材料で造り、延焼のおそれのある外壁は出入口以外の開口部を有しない耐火構造の壁とする |
| 6 | 屋根を不燃材料で造り、金属板その他の軽量な不燃材料でふく(第2類のうち粉状のものと引火性固体を除くもののみを取り扱う建築物は、屋根を耐火構造にできる) |
| 7 | 窓・出入口には防火設備を設け、延焼のおそれのある外壁の出入口には随時開けられる自動閉鎖の特定防火設備を設ける |
| 8 | 窓・出入口にガラスを用いる場合は網入りガラスとする |
| 9 | 液状の危険物を取り扱う建築物の床は危険物が浸透しない構造とし、適当な傾斜を付け、貯留設備を設ける |
| 10 | 危険物を取り扱うために必要な採光・照明・換気の設備を設ける |
| 11 | 可燃性の蒸気・微粉が滞留するおそれのある建築物には、屋外の高所に排出する設備を設ける |
| 12 | 屋外の液状危険物取扱設備は、直下の地盤面の周囲に高さ0.15m以上の囲い(または同等以上の流出防止措置)を設け、地盤面をコンクリート等で覆い、適当な傾斜と貯留設備を設ける。水に溶けない第4類危険物を取り扱う設備では貯留設備に油分離装置を設ける |
| 13 | 危険物を取り扱う機械器具その他の設備は、危険物の漏れ・あふれ・飛散を防止できる構造とする |
| 14 | 加熱・冷却する設備、取扱いに伴い温度変化が起こる設備には温度測定装置を設ける |
| 15 | 加熱・乾燥する設備は直火を用いない構造とする(防火上安全な場所に設けるか、火災防止の附帯設備を設けた場合を除く) |
| 16 | 加圧設備・圧力上昇のおそれのある設備には圧力計および安全装置を設ける |
| 17 | 電気設備は電気工作物に係る法令の規定による |
| 18 | 静電気が発生するおそれのある設備には静電気を有効に除去する装置を設ける |
| 19 | 指定数量の倍数が10以上の製造所には避雷設備を設ける(周囲の状況により安全上支障がない場合を除く) |
| 20 | 危険物を取り扱うタンクは、屋外・屋内・地下それぞれ対応する貯蔵所の基準の例による(屋外にある液体危険物タンクの周囲には防油堤が必要) |
| 21 | 配管の位置・構造・設備の基準(イ〜ト) |
| 22 | 電動機、ポンプ・弁・継手等は火災の予防上支障のない位置に取り付ける |
位置に関する基準(第1号・第2号)
- (1) 製造所は、危険物を製造するために危険物を取り扱う製造所等である。e-Gov「消防法 第10条」
- (2) 製造所は、住居・学校・病院・重要文化財などの保護対象物に対する保安距離が必要な施設である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第1号」
- (3) 製造所の周囲の保有空地は、指定数量の倍数が10以下なら3m以上、10を超えるなら5m以上である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第2号」
建築物の構造(第4号〜第9号)
- (4) 危険物を取り扱う建築物は地階を有しないものでなければならない。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第4号」
- (5) 壁・柱・床・はり・階段を不燃材料で造り、延焼のおそれのある外壁は出入口以外の開口部を有しない耐火構造の壁とする。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第5号」
- (6) 屋根は不燃材料で造り、金属板その他の軽量な不燃材料でふく。爆発時の圧力を上方へ逃がすためである。第2類の危険物(粉状のものおよび引火性固体を除く)のみを取り扱う建築物に限り、屋根を耐火構造とすることができる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第6号」
- (7) 窓・出入口には防火設備を設け、延焼のおそれのある外壁に設ける出入口には随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設ける。ガラスを用いる場合は網入りガラスとする。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第7号・第8号」
- (8) 液状危険物を取り扱う部分の床は、危険物が浸透しない構造とし、適当な傾斜を付け、漏れた危険物を一時的に貯留する貯留設備(ためます)を設ける。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第9号」
換気・排出・屋外設備(第10号〜第12号)
- (9) 可燃性蒸気や可燃性微粉が滞留するおそれのある建築物には、その蒸気・微粉を屋外の高所へ排出する設備を設ける。第4類の蒸気は空気より重いため、低所から吸って高所へ出すのが原則である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第11号」
- (10) 屋外に設けた液状危険物の取扱設備には、直下の地盤面の周囲に高さ0.15m以上の囲いを設け(または同等以上の流出防止措置を講じ)、地盤面をコンクリートその他危険物が浸透しない材料で覆い、適当な傾斜と貯留設備を設ける。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第12号」
- (11) 水に溶けない第4類の危険物を取り扱う屋外設備では、危険物が直接排水溝に流入しないよう、貯留設備に油分離装置を設ける。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第12号後段」
設備に関する基準(第13号〜第19号・第22号)
- (12) 危険物を加熱・冷却する設備、取扱いに伴って温度変化が起こる設備には温度測定装置を設ける。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第14号」
- (13) 危険物を加熱・乾燥する設備は直火を用いない構造とする。防火上安全な場所に設けたとき、または火災を防止するための附帯設備を設けたときは、この限りでない。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第15号」
- (14) 加圧設備や圧力が上昇するおそれのある設備には圧力計と安全装置を設ける。安全装置は①自動的に圧力の上昇を停止させる装置、②減圧弁で減圧側に安全弁を取り付けたもの、③警報装置で安全弁を併用したもの、④破壊板(危険物の性質により安全弁の作動が困難な加圧設備に限る)の4種類である。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第19条第1項」
- (15) 危険物を取り扱うにあたって静電気が発生するおそれのある設備には、蓄積される静電気を有効に除去する装置を設ける。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第18号」
- (16) 指定数量の倍数が10以上の製造所には避雷設備を設ける。周囲の状況によって安全上支障がない場合は不要である。避雷設備は日本産業規格Z9290-3に適合するものとする。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第19号」
高引火点危険物・特殊な危険物の特例(第2項・第3項)
- (17) 引火点が100℃以上の第4類の危険物(高引火点危険物)のみを総務省令の定めるところにより取り扱う製造所については、基準の特例(緩和)を定めることができる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第2項」
- (18) アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、アセトアルデヒド、酸化プロピレンその他総務省令で定める危険物を取り扱う製造所については、危険物の性質に応じて基準を超える特例(加重)を定めることができる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第3項」
試験での比較
製造所は「製造する施設」であり、単に容器へ詰め替える施設やボイラーで消費する施設は、取扱形態に応じて一般取扱所などに分類されます。一般取扱所には製造所の基準が丸ごと準用されるため、両者の構造基準は原則として同じです。
数値で狙われるのは「保有空地3m/5m」「囲い0.15m以上」「避雷設備は倍数10以上」「高引火点危険物は引火点100℃以上」の4点です。「屋根は不燃材料の軽量な材料でふく(原則として耐火構造にしない)」も定番の出題です。
出典・参考
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する政令 第9条
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する規則
- 総務省消防庁 法令・通知等