製造所

最終更新日: 2026-08-28

製造所

製造所は、危険物を製造する目的で危険物を取り扱う施設です。製造設備だけでなく、建築物、配管、加熱設備、換気・排出設備などを一体として規制します。位置・構造・設備の技術上の基準は危険物の規制に関する政令第9条第1項に第1号から第22号まで置かれています。一般取扱所には、政令第19条第1項により第9条第1項の基準が原則として準用されますが、取扱形態・施設形態に応じて同条第2項以下および規則第28条の54以下に特例があるため、すべての一般取扱所に第9条第1項の全号がそのまま適用されるわけではありません。

政令第9条第1項の全体像

試験で狙われるのは一部ですが、網羅の観点から22号すべてを掲げます。

号内容
1保安距離(住居10m・多数収容施設30m・重要文化財等50m・高圧ガス施設20m・特別高圧架空電線は水平距離3mまたは5m)
2保有空地(指定数量の倍数10以下は3m以上、10超は5m以上。配管等は対象外)
3標識および掲示板を見やすい箇所に設ける
4危険物を取り扱う建築物は地階を有しないこと
5壁・柱・床・はり・階段を不燃材料で造り、延焼のおそれのある外壁は出入口以外の開口部を有しない耐火構造の壁とする
6屋根を不燃材料で造り、金属板その他の軽量な不燃材料でふく(第2類のうち粉状のものと引火性固体を除くもののみを取り扱う建築物は、屋根を耐火構造にできる)
7窓・出入口には防火設備を設け、延焼のおそれのある外壁の出入口には随時開けられる自動閉鎖の特定防火設備を設ける
8窓・出入口にガラスを用いる場合は網入ガラスとする
9液状の危険物を取り扱う建築物の床は危険物が浸透しない構造とし、適当な傾斜を付け、貯留設備を設ける
10危険物を取り扱うために必要な採光・照明・換気の設備を設ける
11可燃性の蒸気・微粉が滞留するおそれのある建築物には、屋外の高所に排出する設備を設ける
12屋外の液状危険物取扱設備は、直下の地盤面の周囲に高さ0.15m以上の囲いを設けるか、規則で定める同等以上の流出防止措置を講じ、地盤面を危険物が浸透しない材料で覆う。原則として適当な傾斜・貯留設備を設け、水に溶けない第4類では油分離装置も設けるが、架台等の有効な囲いで漏れた危険物をとどめられる場合はこれらを省略できる
13危険物を取り扱う機械器具その他の設備は、危険物の漏れ・あふれ・飛散を防止できる構造とする
14加熱・冷却する設備、取扱いに伴い温度変化が起こる設備には温度測定装置を設ける
15加熱・乾燥する設備は直火を用いない構造とする(防火上安全な場所に設けるか、火災防止の附帯設備を設けた場合を除く)
16加圧設備・圧力上昇のおそれのある設備には圧力計および安全装置を設ける
17電気設備は電気工作物に係る法令の規定による
18静電気が発生するおそれのある設備には静電気を有効に除去する装置を設ける
19指定数量の倍数が10以上の製造所には避雷設備を設ける(周囲の状況により安全上支障がない場合を除く)
20危険物を取り扱うタンクは、屋外・屋内・地下ごとに第20号が指定する範囲で対応する貯蔵所のタンク基準の例による(屋外・屋内で容量が指定数量の5分の1未満のものは対象外)。屋外の液体危険物タンクには二十号防油堤を設ける
21配管の位置・構造・設備の基準(イ〜ト)
22電動機、ポンプ・弁・継手等は火災の予防上支障のない位置に取り付ける

位置に関する基準(第1号・第2号)

建築物の構造(第4号〜第9号)

  • (4) 危険物を取り扱う建築物は地階を有しないものでなければならない。ここでいう地階は建築基準法施行令第1条第2号の定義によるもので、床が地盤面下にあり、床面から地盤面までの高さが、その階の天井の高さの3分の1以上となる階をいう。「地下に少し下がっている部分がある」ことだけで直ちに地階と判定するのではなく、この定義に該当するかで判断する。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第4号」 e-Gov「建築基準法施行令 第1条第2号」
  • (5) 危険物を取り扱う建築物の壁・柱・床・はり・階段は不燃材料で造る。ここでは、これら全部を耐火構造にすることまでは求めていない。一方、延焼のおそれのある外壁は要求が一段厳しく、出入口以外の開口部を有しない耐火構造の壁としなければならない。したがって「階段は耐火構造でなければならない」「すべての外壁が耐火構造でなければならない」は、製造所の標準基準としては過剰な一般化である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第5号」
  • (6) 危険物令でいう不燃材料は、政令第9条第1項第1号本文ただし書の括弧書きにより、建築基準法第2条第9号の不燃材料のうち総務省令で定めるものとして定義され、同号の「以下同じ」により後続条項にも用いられる。規則第10条はその範囲をガラス以外のものと定める。したがって、壁・柱・床・はり・階段等の不燃材料要件に建築基準法上のガラスをそのまま含めない。窓・出入口のガラスは第8号で別に規制される。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第1号」 e-Gov「危険物の規制に関する規則 第10条」
  • (7) 第5号で延焼のおそれのある外壁に許される開口部は出入口であり、それ以外の開口部は設けない。出入口そのものに必要な防火設備・自動閉鎖の特定防火設備は第7号の論点なので、外壁の耐火構造要件と開口部設備の要件を分けて覚える。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第5号・第7号」
  • (8) 政令第9条第1項第6号では、危険物を取り扱う建築物の屋根について、①屋根を不燃材料で造ること、②金属板その他の軽量な不燃材料でふくこと、の両方を原則として求める。「不燃材料で造ればよい」だけでは標準基準を満たさない。消防庁はこの軽量な屋根を、施設内で爆発的燃焼が発生して内部圧力が急上昇した場合に、その圧力を早期に上部へ放出する放爆構造として説明している。これは技術的趣旨であり、条文に別の追加要件があるという意味ではない。例外として、第2類の危険物のうち粉状のもの及び引火性固体を除いたもののみを取り扱う建築物は、屋根を耐火構造とすることができる。「第2類ならすべて耐火屋根にできる」わけでも、「条件を満たせば耐火構造が義務」になるわけでもない。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第6号」 総務省消防庁「放爆構造とする主な危険物施設の技術基準」
  • (9) 製造所の標準基準では、危険物を取り扱う建築物の窓・出入口には防火設備を設ける。ここでいう防火設備は、規則第13条の2第1項により、防火設備のうち防火戸であるものをいう。さらに、延焼のおそれのある外壁は第5号により出入口以外の開口部を設けられないため、標準基準では窓を設けることができず、許される出入口には随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設ける。この特定防火設備も、規則第13条の2第2項により特定防火設備のうち防火戸であるものをいう。窓又は出入口にガラスを用いる場合は第8号により網入ガラスとする。「窓には必ずガラスを使う」「網入ガラスなら防火設備は不要」という意味ではない。なお、消防危第31号は、危険物を取り扱う部分から耐火構造の床・壁等で区画された危険物を取り扱わない部分の窓・出入口について、政令第23条を適用して網入ガラス以外を認める限定的な運用を示しているため、この特例は標準則と分けて扱う。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第5号・第7号・第8号」 e-Gov「危険物の規制に関する規則 第13条の2」 総務省消防庁「製造所等の建築物に用いる建築材料及びガラスに係る運用上の指針について」
  • (10) 政令第9条第1項第9号が対象とするのは、液状の危険物を取り扱う建築物の床である。床は、①危険物が浸透しない構造とする、②適当な傾斜を付ける、③漏れた危険物を一時的に貯留する貯留設備を設ける、の3点をセットで満たす。固体危険物のみを取り扱う建築物まで第9号の3要件を一般化しない。また「貯留設備」は政令自身が定義する法令用語であり、特定形状・名称の「ためます」に限定されると覚えない。屋外に設けた液状危険物取扱設備は第12号の別基準で、建築物の床ではなく設備直下の地盤面を対象とするため区別する。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第9号・第12号」

換気・排出・屋外設備(第10号〜第12号)

設備に関する基準(第13号〜第19号・第22号)

製造所内の危険物タンク(第20号)

  • (20) 政令第9条第1項第20号は、製造所で危険物を取り扱うタンクについて、屋外・屋内・地下ごとに同号が指定した範囲だけ、対応するタンク貯蔵所の位置・構造・設備基準の例による。各貯蔵所の規定を丸ごと準用するわけではない。また、屋外又は屋内にあるタンクで容量が指定数量の5分の1未満のものは第20号の対象外だが、この小容量除外を地下タンクへ一般化しない。さらに、屋外にある液体危険物タンクには規則第13条の3の二十号防油堤を設ける。その容量は、タンクが1基ならタンク容量の50%以上、2基以上なら最大タンク容量の50% + その他のタンク容量合計の10%以上である。二十号防油堤は規則第22条の防油堤基準を全部取り込むのではなく、第13条の3第2項第2号が同条の一部だけを準用するため、高さ0.5m以上等は共通する一方、容量はこの50%式という独自基準になる。比較すると、屋外タンク貯蔵所で引火点を有する液体危険物を貯蔵する通常の防油堤は規則第22条第2項で110%以上だが、引火点を有しない液体危険物は同条第3項により100%へ読み替える。「製造所の二十号防油堤も110%」「屋外タンク貯蔵所ならすべて110%」とは覚えない。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第20号」 e-Gov「危険物の規制に関する規則 第13条の3・第22条」

高引火点危険物・特殊な危険物の特例(第2項・第3項)

  • (21) 高引火点危険物は、引火点が100℃以上の第4類の危険物をいう。ただし、この定義に当てはまるだけで製造所の特例が適用されるわけではない。政令第9条第2項・規則第13条の6の特例対象は、高引火点危険物のみを100℃未満の温度で取り扱う製造所である。さらに、その位置・構造が規則第13条の6第3項各号の代替基準に適合する場合に限り、標準基準のうち政令第9条第1項第1号・第2号・第4号・第6号〜第8号・第18号・第19号等を適用しない。これは「製造所には地階禁止・軽量屋根・防火設備・網入ガラス・静電気除去・避雷設備の基準が存在しない」という意味ではなく、高引火点特例の条件を満たす製造所だけが、規則第13条の6第3項の別基準に置き換わるということ。たとえば屋根は不燃材料で造る基準となり、窓・出入口は防火設備のほか不燃材料又はガラスで造られた戸も認められる一方、延焼のおそれのある外壁の出入口には自動閉鎖の特定防火設備を要し、そこにガラスを用いる場合は網入ガラスとする。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第2項」 e-Gov「危険物の規制に関する規則 第13条の6」
  • (22) アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、アセトアルデヒド、酸化プロピレンその他総務省令で定める危険物を取り扱う製造所については、危険物の性質に応じて基準を超える特例(加重)を定めることができる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第3項」

試験での比較

製造所は「製造する施設」であり、単に容器へ詰め替える施設やボイラーで消費する施設は、取扱形態に応じて一般取扱所などに分類されます。一般取扱所は政令第19条第1項により製造所の第9条第1項基準を原則として準用しますが、特定の取扱形態では政令第19条第2項以下・規則第28条の54以下の特例により、第9条第1項の一部を適用せず別の構造・設備基準に置き換える場合があります。したがって、両者の構造基準を常に同一と覚えないでください。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第19条」 e-Gov「危険物の規制に関する規則 第28条の54以下」

製造所で押さえる主要な数値には「保有空地3m/5m」「囲い0.15m以上」「避雷設備は倍数10以上」「高引火点危険物は引火点100℃以上」があります。高引火点危険物の定義は100℃以上、製造所特例の温度条件は100℃未満で取り扱うことなので、この2つの「100℃」を混同しないでください。屋根は不燃材料で造り、金属板その他の軽量な不燃材料でふくのが原則で、第2類の限定条件では耐火構造にできることも定番の出題です。

タンクでは、製造所の二十号防油堤は1基なら50%以上、複数なら最大タンク50% + その他合計10%以上であり、屋外タンク貯蔵所の引火点を有する液体危険物の通常防油堤110%以上と混同しないでください。なお、屋外タンク貯蔵所でも引火点を有しない液体危険物は100%へ読み替えます。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第13条の3・第22条」

出典・参考

製造所に関する問題