芳香族化合物

最終更新日: 2026-07-26

芳香族化合物

芳香族化合物とは、ベンゼン環(芳香環)をもつ有機化合物の総称です。第4類危険物のベンゼントルエン・キシレン、第5類ピクリン酸などが該当します。

ベンゼン環の構造と性質

  • (1) ベンゼン C₆H₆ は炭素6個が正六角形に並んだ平面構造をもち、6個のπ電子が環全体に非局在化している。単結合と二重結合が交互にあるのではなく、すべての炭素間結合が等価である。OpenStax「Hydrocarbons」
  • (2) π電子の非局在化によりベンゼン環は安定であり、不飽和結合をもちながら付加反応より置換反応を起こしやすい。これが芳香族化合物の最大の特徴である。OpenStax「Hydrocarbons」
  • (3) 炭素の割合が高いため燃焼時にすすを多く出す(多量のばい煙を伴う)。第4類の芳香族化合物の火災はこの特徴を示す。職場のあんぜんサイト「ベンゼン SDS」

主な芳香族化合物

化合物示性式消防法上の分類引火点
ベンゼンC₆H₆第4類 第1石油類(非水溶性)−11℃
トルエンC₆H₅CH₃第4類 第1石油類(非水溶性)4℃
キシレンC₆H₄(CH₃)₂第4類 第2石油類(非水溶性)27〜32℃(異性体による)
スチレンC₆H₅CH=CH₂第4類 第2石油類(非水溶性)31℃
アニリンC₆H₅NH₂第4類 第3石油類(非水溶性)70℃
ニトロベンゼンC₆H₅NO₂第4類 第3石油類(非水溶性)88℃
クレオソート油第4類 第3石油類(非水溶性)74℃以上
ピクリン酸C₆H₂(NO₂)₃OH第5類 ニトロ化合物

置換基の位置

ベンゼン環に置換基が2つ付くとき、その位置関係で3つの異性体ができます。

位置呼び方記号
隣り合う(1,2位)オルトo-
1つおき(1,3位)メタm-
向かい合う(1,4位)パラp-
  • (9) ベンゼン環に置換基が2つ付く場合、隣り合う位置をオルト(o-)、1つおきをメタ(m-)、向かい合う位置をパラ(p-)という。OpenStax「Hydrocarbons」

危険物との関係

試験での頻出ポイント

  • ベンゼン環は不飽和結合をもつのに置換反応を起こしやすい。これが脂肪族の不飽和化合物(付加反応)との違いです。
  • ベンゼンの炭素間結合はすべて等価です。「単結合と二重結合が交互にある」は正確ではありません。
  • 芳香族化合物が必ず第4類とは限りません。ピクリン酸第5類です。
  • 芳香族炭化水素は水に溶けにくく水より軽く、蒸気は空気より重い。この3点セットが消火・換気の判断につながります。
  • 燃焼時にすすを多く出します。

出典・参考

芳香族化合物に関する問題