無機過酸化物とは
過酸化物イオン(O₂²⁻)を含む無機化合物の総称で、第1類(酸化性固体)の品名区分の一つです。過酸化ナトリウム(Na₂O₂)、過酸化カリウム(K₂O₂)のようなアルカリ金属の過酸化物と、過酸化カルシウム(CaO₂)、過酸化マグネシウム(MgO₂)、過酸化バリウム(BaO₂)のようなアルカリ土類金属等の過酸化物があります。第1類の中で唯一「注水厳禁」となるグループであり、乙種第1類(乙1)試験で最も重要な品名区分です。
共通する性状・危険性
- (1) 単体では不燃性ですが、他の物質の燃焼を助長します(過酸化ナトリウムSDS「火災時の措置」)。
- (2) 水と反応して発熱し、酸素を発生します。特にアルカリ金属(ナトリウム・カリウム)の過酸化物は反応が激しく、反応熱と発生した酸素により周囲の可燃物が発火するおそれがあります。
- (3) 水と反応した後は強アルカリ性の水酸化物(水酸化ナトリウムなど)を生じるため、腐食性の危険も伴います。
- (4) アルカリ土類金属の過酸化物(過酸化カルシウムなど)は、アルカリ金属のものに比べて水との反応が穏やかです。
- (5) 酸と接触すると過酸化水素を生じます。
貯蔵・取扱いと消火方法
- (6) 水分との接触を厳禁とし、容器は密栓して湿気を避けて保管します(過酸化ナトリウムSDS「取扱い及び保管上の注意」)。雨漏り・結露にも注意が必要です。
- (7) 可燃物・還元剤・酸・粉末金属から隔離し、加熱・衝撃を避けます(根拠は上記storageと同じSDS「保管」欄)。
- (8) アルカリ金属の過酸化物等の初期消火には、炭酸水素塩類を使う粉末消火剤または乾燥砂等を用い、酸化性物質へ直接注水しません。
代表物質の比較
| 物質 | 化学式 | 外観 | 水との反応 | 消火 |
|---|---|---|---|---|
| 過酸化ナトリウム | Na₂O₂ | 淡黄色〜黄白色の粉末 | 激しく反応し発熱・酸素発生 | 注水厳禁。乾燥砂・粉末 |
| 過酸化カリウム | K₂O₂ | 淡黄色〜黄褐色の粉末 | 激しく反応し発熱・酸素発生。潮解性あり | 注水厳禁。乾燥砂・粉末 |
| 過酸化カルシウム | CaO₂ | 白色〜淡黄色の粉末 | 反応は比較的穏やか(温水では分解) | 乾燥砂・粉末が安全 |
| 過酸化バリウム | BaO₂ | 白色〜灰白色の粉末 | 温水と反応して酸素発生。毒性あり | 乾燥砂・粉末が安全 |
試験での問われ方
- 「第1類の消火は大量注水が原則。ただし無機過酸化物(アルカリ金属の過酸化物)は注水厳禁」という例外が最頻出です。「塩素酸カリウム=注水OK」「過酸化ナトリウム=乾燥砂」の対比問題は定番中の定番です。
- 「水と反応して酸素を発生する」点が問われます。禁水性の第3類(ナトリウム等=水素発生、炭化カルシウム=アセチレン発生)と発生ガスの違いを混同させるひっかけがあります。
- アルカリ金属の過酸化物とアルカリ土類金属の過酸化物で、水との反応の激しさに差があることも問われることがあります。
出典・参考
- 厚生労働省「職場のあんぜんサイト」過酸化ナトリウム GHSモデルSDS(CAS 1313-60-6)
- 同サイト:過酸化カルシウム GHSモデルSDS(CAS 1305-79-9)
- 過酸化ナトリウムSDS:水との反応・消火に関する記載
- 総務省消防庁 危険物の判定に関する資料(消防法上の危険物区分の根拠)
※本解説はAIが上記の政府公表資料等を参考に作成した暫定版です。数値は代表値であり、正確性は要確認です。