保安距離

最終更新日: 2026-07-26

保安距離

保安距離とは、製造所等で火災・爆発が起きたときに周囲の人と建物を守るため、製造所等の外壁(またはこれに相当する工作物の外側)から、住居・学校・病院などの保護対象物までに確保しなければならない距離です。危険物の規制に関する政令第9条第1項第1号が定め、他の施設はこの条文を準用しています。

「施設の外にある守るべき対象まで、どれだけ離すか」を決めるのが保安距離です。施設の周囲にあけておく空地は保有空地という別の制度なので、混同しないでください。

距離の測り方

保護対象物と保安距離

保護対象物確保する距離
住居の用に供する建築物その他の工作物(製造所等の存する敷地と同一敷地内のものを除く10m以上
学校、病院、劇場その他多数の人を収容する施設で総務省令で定めるもの30m以上
重要文化財・重要有形民俗文化財・史跡・重要な文化財に指定された建造物、旧重要美術品等保存法により重要美術品と認定された建造物50m以上
高圧ガスその他災害を発生させるおそれのある物を貯蔵し、又は取り扱う施設で総務省令で定めるもの20m以上(規則第12条第2項)
使用電圧が7,000Vを超え35,000V以下の特別高圧架空電線水平距離3m以上
使用電圧が35,000Vを超える特別高圧架空電線水平距離5m以上

「30m」に含まれる施設の範囲(規則第11条)

政令が「総務省令で定めるもの」と委任した先が規則第11条です。範囲を確定しておきます。

区分該当するもの収容人員の要件
学校幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校なし
病院医療法第1条の5第1項の病院なし
興行場等劇場、映画館、演芸場、公会堂その他これらに類する施設300人以上収容できるもの
福祉施設等児童福祉施設、身体障害者社会参加支援施設、保護施設(授産施設・宿所提供施設を除く)、老人福祉施設・有料老人ホーム、母子・父子福祉施設、障害者職業能力開発校、特定民間施設、介護老人保健施設・介護医療院、障害福祉サービス事業(生活介護・自立訓練・就労選択支援・就労移行支援・就労継続支援)の用に供する施設、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホーム20人以上収容できるもの

保安距離が必要な製造所等

保安距離が必要なのは、次の5施設だけです。

施設根拠
製造所政令第9条第1項第1号
屋内貯蔵所政令第10条第1項第1号(製造所の例による)
屋外タンク貯蔵所政令第11条第1項第1号(製造所の例による)
屋外貯蔵所政令第16条第1項第1号(製造所の例による)
一般取扱所政令第19条第1項(第9条を準用)

保安距離が不要製造所等は、次のとおりです。

施設保安距離
屋内タンク貯蔵所不要
地下タンク貯蔵所不要
簡易タンク貯蔵所不要
移動タンク貯蔵所不要
給油取扱所不要
販売取扱所(第一種・第二種)不要
移送取扱所政令上は不要(ただし地上に設置する配管については、規則第28条の16第2号が住宅・学校・病院・鉄道等に対する告示で定める水平距離を要求する)

緩和できる場合とできない場合

  • (11) 住居(イ)・多数収容施設(ロ)・重要文化財等(ハ)については、不燃材料で造った防火上有効な塀を設けること等により市町村長等が安全であると認めた場合、市町村長等が定めた距離を保安距離とすることができる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第1号ただし書」
  • (12) 高圧ガス施設等(ニ)は規則第12条第2項ただし書により、耐火構造の塀の設置その他の防火上有効な措置を講じた場合に告示で定める要件を満たす距離とすることができる。一方、特別高圧架空電線(ホ・ヘ)については緩和規定が置かれていないe-Gov「危険物の規制に関する規則 第12条第2項」

試験での頻出ポイント

  • 数値の対応(住居10m・多数収容施設30m・重要文化財50m・高圧ガス20m)は暗記必須です。「重要文化財=50m(最大)」「住居=10m(最小)」の両端を押さえると選択肢を絞りやすくなります。
  • 「保安距離が必要な施設はどれか」という問いでは、地下タンク貯蔵所移動タンク貯蔵所給油取扱所を混ぜて誤答を誘う出題が定番です。必要なのは上の5施設だけです。
  • 「大学は30mの対象か」「同一敷地内の住居にも10m必要か」は、いずれも対象外が正解です。
  • 距離の起点を「敷地境界線」「タンクの中心」と入れ替えた選択肢はひっかけです。起点は外壁又はこれに相当する工作物の外側です。
  • 保安距離と保有空地を入れ替えた選択肢もひっかけです。「距離=外の保護対象物まで」「空地=施設の周囲にあける」と区別しましょう。

出典・参考

保安距離に関する問題