給油取扱所
給油取扱所は、固定給油設備で自動車等の燃料タンクへ危険物を直接給油する取扱所です。ガソリンスタンドが代表例で、位置・構造・設備の基準は危険物の規制に関する政令第17条第1項に第1号から第23号まで置かれています。
給油取扱所には区分と特例が何重にもかかっています。まず全体像を押さえてから細部に入ってください。
給油取扱所の区分
| 区分 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 屋外給油取扱所 | 一般のガソリンスタンド | 政令第17条第1項 |
| 屋内給油取扱所 | 建築物内に設置するもの(ふさがれた面積の割合が3分の1超) | 政令第17条第2項、規則第25条の6 |
| 航空機・船舶・鉄道の給油取扱所 | 飛行場・船舶・鉄道車両に給油するもの | 政令第17条第3項第1号〜第3号 |
| 圧縮天然ガス等・水素の充てん設備を設ける給油取扱所 | ガス・水素の充てん設備を併設するもの | 政令第17条第3項第4号・第5号 |
| 自家用の給油取扱所 | 総務省令で定める自家用のもの | 政令第17条第3項第6号 |
| メタノール等を取り扱う給油取扱所 | メタノール・エタノールまたはこれらを含有するもの | 政令第17条第4項(基準を超える特例) |
| 顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所 | いわゆるセルフ型 | 政令第17条第5項、規則第28条の2の4以下 |
- (1) 給油取扱所は、固定給油設備で自動車等の燃料タンクへ危険物を直接給油する取扱所である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第17条第1項第1号」
- (2) 給油取扱所には、屋内給油取扱所(第2項)、航空機・船舶・鉄道・ガス充てん設備併設・自家用の給油取扱所(第3項)、メタノール等を取り扱う給油取扱所(第4項)、顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所(第5項)の特例区分がある。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第17条」
給油空地・注油空地(第2号〜第5号)
- (3) 給油設備は、ポンプ機器とホース機器からなる固定給油設備とする。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第17条第1項第1号」
- (4) 給油空地は、固定給油設備のホース機器の周囲(懸垂式は下方)に間口10m以上・奥行6m以上を確保する。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第17条第1項第2号」
- (5) 注油空地は、灯油・軽油を容器に詰め替え、または容量4,000L以下の車両固定タンク(2,000Lを超えるものは2,000L以下ごとに仕切ったものに限る)へ注入するための空地で、給油空地以外の場所に設ける。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第17条第1項第3号」
- (6) 給油空地・注油空地は漏れた危険物が浸透しない舗装とし、危険物・可燃性蒸気が滞留せず、他の部分へ流出しない措置を講ずる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第17条第1項第4号・第5号」
タンク(第7号・第8号)
- (7) 給油取扱所には、固定給油設備・固定注油設備に接続する専用タンクまたは容量10,000L以下の廃油タンク等を地盤面下に埋没して設ける場合を除き、危険物を取り扱うタンクを設けてはならない。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第17条第1項第7号」
- (8) 防火地域および準防火地域以外の地域に限り、地盤面上に固定給油設備に接続する容量600L以下の簡易タンクを、取り扱う同一品質の危険物ごとに1個ずつ3個まで設けることができる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第17条第1項第7号ただし書」
固定給油設備・固定注油設備(第9号〜第15号)
- (9) 固定給油設備・固定注油設備には、先端に弁を設けた全長5m以下の給油ホースまたは注油ホースと、その先端に蓄積される静電気を有効に除去する装置を設ける(懸垂式は総務省令で定める長さ)。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第17条第1項第10号」
- (10) 懸垂式の固定給油設備・固定注油設備は、ホース機器の引出口の高さを地盤面から4.5m以下とする。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第17条第1項第14号」
- (11) 懸垂式を設ける給油取扱所には、ポンプ機器を停止する等により専用タンクからの危険物の移送を緊急に止めることができる装置を設ける。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第17条第1項第15号」
固定給油設備が保つべき間隔(第12号)
| 相手 | 間隔 |
|---|---|
| 道路境界線(懸垂式) | 4m以上 |
| 道路境界線(最大給油ホース全長3m以下) | 4m以上 |
| 道路境界線(最大給油ホース全長3m超4m以下) | 5m以上 |
| 道路境界線(最大給油ホース全長4m超5m以下) | 6m以上 |
| 敷地境界線 | 2m以上 |
| 建築物の壁 | 2m以上(給油取扱所の建築物の壁に開口部がない場合は1m以上) |
固定注油設備は、上の表と同じ間隔を固定給油設備および道路境界線に対して保ち、敷地境界線からは1m以上、建築物の壁からは2m以上(開口部がなければ1m以上)とします。
- (12) 固定給油設備は道路境界線から4m〜6m以上(ホース全長による)、敷地境界線から2m以上、建築物の壁から2m以上(開口部がなければ1m以上)の間隔を保つ。固定注油設備の敷地境界線からの間隔は1m以上である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第17条第1項第12号・第13号」
建築物と塀(第16号〜第19号)
給油取扱所に設けられる建築物の用途は、規則第25条の4第1項が確定的に列挙しています。
| 号 | 認められる用途 |
|---|---|
| 1 | 給油、灯油・軽油の詰替えのための作業場 |
| 2 | 給油取扱所の業務を行うための事務所 |
| 3 | 自動車等の点検・整備を行う作業場 |
| 4 | 自動車等の洗浄を行う作業場 |
| 5 | 所有者・管理者・占有者が居住する住居、これらの者に係る他の給油取扱所の業務を行うための事務所 |
| 6 | 消防法施行令別表第一の(一)(三)(四)(八)(十一)〜(十三)イ・(十四)(十五)項の用途 |
- (13) 給油取扱所には、規則第25条の4第1項が列挙する用途の建築物以外を設けてはならない。係員以外の者が出入りする部分(事務所・点検整備場・別表第一の用途部分)の床面積の合計は300m²を超えてはならない。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第25条の4第1項・第2項」
- (14) 給油取扱所の周囲には、自動車等が出入りする側を除き、火災による被害の拡大を防止するための高さ2m以上の塀または壁(耐火構造または不燃材料で造られたもの)を設ける。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第17条第1項第19号」
取扱いの基準(政令第27条第6項第1号)
| 記号 | 内容 |
|---|---|
| イ | 自動車等に給油するときは固定給油設備を使用して直接給油する |
| ロ | 自動車等に給油するときは原動機を停止させる |
| ハ | 自動車等の一部または全部が給油空地からはみ出たまま給油しない |
| ニ | 固定給油設備からガソリンを容器に詰め替えるとき等も、給油空地からはみ出たまま行わない |
| ホ | 固定注油設備から灯油・軽油を詰め替えるとき等は、注油空地からはみ出たまま行わない |
| ヘ | 移動貯蔵タンクから専用タンク等へ注入するときは、移動タンク貯蔵所を注入口付近に停車させる |
| ト | 専用タンク等へ注入するときは、接続する固定給油設備・固定注油設備の使用を中止し、自動車等を注入口に近づけない |
| チ | 固定給油設備等には、接続する専用タンク等の配管以外から危険物を注入しない |
| リ | 給油時等は、所定の部分で他の自動車等の駐車を禁止し、点検・整備・洗浄を行わない |
| ヌ | 屋内給油取扱所の避難用空地には駐停車させず、避難上支障となる物件を置かない |
| ル | 1方向開放の屋内給油取扱所で専用タンクに注入するときは、可燃性蒸気の放出防止措置を講ずる |
| ヲ | 自動車等の洗浄には引火点を有する液体の洗剤を使用しない |
| ワ | 物品の販売等の業務は、原則として建築物の1階のみで行う |
| カ | 給油の業務が行われていないときは、係員以外の者を出入りさせない措置を講ずる |
| ヨ | 顧客に自ら給油させ、またはガソリン・灯油・軽油を容器に詰め替えさせない(セルフ型を除く) |
- (15) 自動車等に給油するときは、固定給油設備を使用して直接給油し、自動車等の原動機を停止させる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第27条第6項第1号イ・ロ」
- (16) 自動車等の洗浄を行う場合は、引火点を有する液体の洗剤を使用してはならない。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第27条第6項第1号ヲ」
- (17) 通常の給油取扱所では、顧客に自ら給油させ、またはガソリン・灯油・軽油を容器に詰め替えさせてはならない。これを解除するのがセルフ型の特例である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第27条第6項第1号ヨ」
セルフ給油(従来からの記載)
- (18) 顧客に自ら給油等をさせる施設でも、顧客の作業を監視・制御し、必要な指示を行う設備が必要である。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第28条の2の5第6号」
- (19) 制御卓は、すべての顧客用固定給油設備・顧客用固定注油設備の使用状況を直接または監視設備で確認できる位置に設ける。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第28条の2の5第6号イ」
試験での比較
給油取扱所は「取扱所」であり、燃料を地下タンク等に貯蔵していても施設全体の区分は貯蔵所ではありません。保安距離も保有空地も不要ですが、代わりに給油空地・注油空地と各設備の間隔が細かく決まっています。
数値では「給油空地は間口10m以上・奥行6m以上」「ホース全長5m以下」「懸垂式の引出口4.5m以下」「廃油タンク10,000L以下」「簡易タンク600L以下を3個まで」「塀・壁2m以上」「係員以外が出入りする部分300m²以下」が狙われます。間口と奥行の順序を入れ替えた選択肢に注意してください。
出典・参考
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する政令 第17条
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する規則
- 総務省消防庁 法令・通知等