丙種の燃焼・消火基礎
丙種試験の「燃焼及び消火に関する基礎知識」で問われる、燃焼条件、燃焼形態、消火原理、引火性液体の基礎をまとめます。
燃焼
- (1) 燃焼の三要素は、可燃物、酸素供給源、点火源である。いずれか一つを取り除けば燃焼は継続できない。(消防庁消防研究センター「燃焼の3要素」)
- (2) 一酸化炭素の完全燃焼は
2CO + O₂ → 2CO₂で表される。一酸化炭素2分子と酸素1分子から二酸化炭素2分子が生じる。(北海道大学学術成果コレクション「CO酸化反応」PDF・Introduction) - (3) 表面燃焼は、木炭やコークスのように炎を上げず、固体表面で酸素と反応して赤熱する燃焼である。(東邦大学「表面燃焼」)
- (4) 分解燃焼は、木材などが熱分解して可燃性ガスを生じ、そのガスが炎を上げて燃える燃焼である。(東邦大学「炎の出る燃焼」)
- (5) 蒸発燃焼は、ガソリン・灯油などが蒸発し、その蒸気が空気と混合して燃える燃焼である。液体そのものが直接燃えるのではない。(東邦大学「蒸発燃焼」)
消火
- (6) 冷却消火は、水などで可燃物の温度を下げ、燃焼を継続できない温度にする方法である。(消防庁「標準的な教育テキスト」PDF・第4章第2節3)
- (7) 窒息消火は、泡、二酸化炭素、ふたなどで空気を遮断し、酸素濃度を下げる方法である。(消防庁「標準的な教育テキスト」PDF・第4章第2節2)
- (8) 除去消火は、ガスの元栓を閉じる、燃えている場所から可燃物を移すなど、可燃物の供給を断つ方法である。(消防庁「標準的な教育テキスト」PDF・第4章第2節1)
- (9) 抑制消火は、粉末消火剤などで燃焼の連鎖反応を中断する方法である。主作用を冷却と取り違えない。(消防庁「標準的な教育テキスト」PDF・第4章第2節4)
- (10) ガソリンや灯油の火災には、泡、粉末、二酸化炭素などの適応消火剤を用いる。棒状の水は油を押し広げ、水より軽い油が水面に浮いて燃焼面を拡大させるため不適切である。(厚労省SDS「ガソリン・火災時の措置」・同「灯油」)
引火性液体の基礎
- (11) 引火点は、液体から出た蒸気が点火源に触れると一時的に燃え始める最低の液温である。点火源を必要とする。(消防庁「初心者のための化学物質の発火・爆発危険性」PDF・引火性・可燃性)
- (12) 発火点は、炎や火花を近づけなくても、加熱によって自ら燃え始める最低の温度である。一般に同じ物質の引火点より高い。(消防庁消防研究センター「引火点と着火点」PDF・消研輯報第4号)
- (13) 燃焼範囲は、可燃性蒸気が空気中で燃焼できる濃度範囲である。下限未満は薄すぎ、上限を超えると濃すぎて燃えない。(消防庁「初心者のための化学物質の発火・爆発危険性」PDF・爆発範囲)
- (14) ガソリン、灯油などの蒸気は空気より重く、床面やくぼみなど低所へ流れて滞留しやすい。低所を含めた換気と離れた火源への注意が必要である。(厚労省SDS「ガソリン・物理的及び化学的性質」・同「灯油」)
- (15) 可燃性液体の流動・ろ過・噴出では静電気が発生し、放電火花が点火源になることがある。設備の接地、流速の抑制、帯電しにくい服装などで蓄積を防ぐ。(消防庁「一般取扱所における火災対策のポイント」)
丙種の油種・法令
- (16) ガソリンは第1石油類、灯油・軽油は第2石油類、重油は主に第3石油類、ギヤー油・シリンダー油は第4石油類、なたね油などは動植物油類である。概してガソリンが最も引火しやすく、高い石油類ほど引火点が高い。(消防庁「消防法別表第一」・e-Gov「危険物の規制に関する政令」別表第三)
- (17) 丙種が自ら取り扱えるのは、ガソリン、灯油、軽油、重油などの第3石油類、第4石油類、動植物油類に限られる。アルコール類やガソリン以外の第1石油類は対象外で、無資格者の取扱いへの立会いもできない。(消防庁検討資料PDF・丙種危険物取扱者の取扱範囲)
- (18) 指定数量未満の危険物の貯蔵・取扱いも無規制ではなく、市町村条例で技術上の基準が定められる。危険物の運搬基準は指定数量未満にも適用される。(消防庁「令和6年版消防白書・危険物規制」・同「平成30年版消防白書」PDF・危険物規制)