金属の性質と構造
金属は、自由電子が金属イオンのあいだを動き回る「金属結合」でできています。この構造が、金属に共通する性質(電気・熱をよく伝える、たたくと広がる、光沢がある)をすべて説明します。
金属結合と自由電子
- (1) 金属では、価電子が特定の原子に束縛されず結晶全体を動き回る自由電子となり、金属イオンを結びつけている。これを金属結合という。OpenStax「The Solid State of Matter」
- (2) 自由電子が移動するため、金属は電気および熱の良導体である。OpenStax「The Solid State of Matter」
- (3) 力を加えて原子の位置がずれても自由電子が結合を保つため、金属は展性(たたくと薄く広がる)と延性(引っ張ると細く伸びる)を示す。OpenStax「The Solid State of Matter」
- (4) 自由電子が光を反射するため、金属特有の金属光沢をもつ。OpenStax「The Solid State of Matter」
結晶構造
- (5) 金属の結晶構造には体心立方格子(配位数8)、面心立方格子(配位数12)、六方最密構造(配位数12)がある。面心立方格子と六方最密構造は最密充填構造である。OpenStax「The Solid State of Matter」
イオン化傾向
金属が水溶液中で陽イオンになろうとする性質の強さの順をイオン化傾向といいます。
K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (H) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au
- (6) イオン化傾向はK>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>(H)>Cu>Hg>Ag>Pt>Auの順である。イオン化傾向が大きい金属ほど酸化されやすく、腐食しやすい。OpenStax「Occurrence and Preparation of the Representative Metals」
- (7) K・Ca・Naは常温の水と激しく反応して水素を発生する。Mgは熱水と、Al・Zn・Feは高温の水蒸気と反応する。Ni以降は水と反応しない。OpenStax「Occurrence and Preparation of the Representative Metals」
- (8) 異なる2種類の金属が電解質を介して接触すると、イオン化傾向の大きいほうが陽極(アノード)となって溶け出す。これを異種金属接触腐食(電食)という。OpenStax「Occurrence and Preparation of the Representative Metals」
危険物との関係
- (9) カリウム・ナトリウムはイオン化傾向が極めて大きく、常温の水と激しく反応して水素を発生し発火する。そのため第3類(自然発火性物質及び禁水性物質)に指定され、灯油(保護液)中に保存する。e-Gov「消防法 別表第一」
- (10) 鉄粉・アルミニウム粉・マグネシウムは第2類(可燃性固体)である。粉末で比表面積が大きいため燃えやすく、水や酸と反応して水素を発生するため、貯蔵・取扱いでは水と酸との接触を避ける。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第25条第1項第2号」
- (11) 金属粉やアルカリ金属の火災に水系の消火剤を使ってはならない。水と反応して水素を発生し、爆発の危険がある。乾燥砂や膨張ひる石・膨張真珠岩で覆う。e-Gov「危険物の規制に関する政令 別表第五」
- (12) アルミニウムや鉄は濃硝酸に対して表面に緻密な酸化被膜(不動態)をつくり、それ以上反応が進まなくなる。濃硝酸をアルミニウム製容器で扱えるのはこのためである。OpenStax「Occurrence and Preparation of the Representative Metals」
- (13) アルミニウム・亜鉛・スズ・鉛は、酸にも強塩基にも溶ける両性金属である。アルミニウム粉は水酸化ナトリウム水溶液と反応して水素を発生する。OpenStax「Occurrence and Preparation of the Representative Metals」
試験での頻出ポイント
- 金属の性質(電気・熱の良導体、展性・延性、金属光沢)はすべて自由電子で説明できます。
- イオン化傾向の順序、特に「K・Ca・Naは常温の水と反応」が頻出です。
- 金属粉・アルカリ金属の火災に注水は厳禁です。
- アルミニウム・鉄が濃硝酸で不動態をつくること、アルミニウム・亜鉛が両性金属であることも狙われます。
- 異種金属が接触すると、イオン化傾向の大きいほうが腐食します。
出典・参考
- OpenStax The Solid State of Matter
- OpenStax Occurrence and Preparation of the Representative Metals
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する政令