定期点検
(1) 定期点検は、政令で定める製造所等の所有者・管理者・占有者が、施設の位置・構造・設備を技術上の基準に適合するよう維持するために行う点検です。通常の定期点検は1年に1回以上実施し、点検記録を作成して保存します(消防法第14条の3の2、危険物の規制に関する規則第62条の4)。対象施設は下の表のとおりで、漏れの点検・内部点検には別の周期があり、記録の保存期間も点検の種類ごとに分かれます。
(2) 対象は「予防規程を定める製造所等(給油取扱所を除く)」に「地下タンクを有する製造所等」を足したものです。数量条件だけでなく、地下タンクの有無や施設区分で対象になるものがあります(危険物の規制に関する政令第8条の5)。
| 製造所等 | 定期点検の対象となる条件 |
|---|---|
| 製造所 | 指定数量の倍数が10以上、または地下タンクを有するもの |
| 屋内貯蔵所 | 指定数量の倍数が150以上 |
| 屋外タンク貯蔵所 | 指定数量の倍数が200以上 |
| 屋外貯蔵所 | 指定数量の倍数が100以上 |
| 一般取扱所 | 指定数量の倍数が10以上(下の除外表の詰替え施設を除く)、または地下タンクを有するもの |
| 移送取扱所 | 数量条件なくすべて。ただし下の除外表の長大・高圧のものを除く |
| 地下タンク貯蔵所 | すべて(指定数量の倍数を問わない) |
| 移動タンク貯蔵所 | すべて(指定数量の倍数を問わない) |
| 給油取扱所 | 地下タンクを有するもの |
| 屋内タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・販売取扱所 | 対象外(政令に列挙されていない) |
地下タンク貯蔵所と移動タンク貯蔵所は、指定数量の倍数にかかわらず対象です。給油取扱所は、予防規程では数量条件なく対象になるのに対し、定期点検では地下タンクを有するものだけが対象になります。
(3) 上の表に当てはまっても、次のものは定期点検の対象から除かれます。
| 除外される製造所等 | 根拠 |
|---|---|
| 鉱山保安法第19条第1項の保安規程を定めているもの | 規則第9条の2第1号 |
| 火薬類取締法第28条第1項の危害予防規程を定めているもの | 規則第9条の2第2号 |
| 指定数量の倍数が30以下の一般取扱所で、引火点40℃以上の第4類だけを容器に詰め替えるもの | 令第7条の3第6号(令第31条の2第6号ロ) |
| 配管の延長が15kmを超える移送取扱所、および最大常用圧力0.95MPa以上で配管の延長が7km以上15km以下の移送取扱所 | 令第8条の5(令第8条の3の移送取扱所を除く)。これらは市町村長等の保安検査の対象 |
一般取扱所の詰替え除外は「指定数量の倍数が10以上」を理由に対象となる場合の除外です。地下タンクを有する一般取扱所は令第8条の5第5号により、詰替え施設であっても定期点検の対象になります。
点検を行う者
(4) 点検を行える者は規則第62条の6で次の3通りに定められています。危険物取扱者の立会いが要るのは、危険物取扱者でも危険物施設保安員でもない者が点検する場合です。
(5) 見落としやすいのは、危険物施設保安員には危険物取扱者免状も実務経験も選任要件がない点です。つまり免状を持たない人でも危険物施設保安員になることができ、その立場なら立会いなしで定期点検を行えます。免状を持たない人が定期点検をするには「危険物施設保安員であること」か「危険物取扱者の立会いを受けること」のどちらかが必要、と整理すると混同しません。
危険物施設保安員について、危険物取扱者免状や実務経験は法定の選任要件とされていません。甲種・乙種免状と6か月以上の実務経験が必要な危険物保安監督者と区別します。(→危険物施設保安員(4))
(6) 立会いをする側の免状の種類について、規則第62条の6第2項は種別を限定せず「危険物取扱者の立会」とだけ定めています。危険物取扱作業の立会いを甲種・乙種に限る消防法第13条の3第3項とは別の条文である点に注意します。
(7) ただし、次の点検は「その点検の方法に関する知識及び技能を有する者」に限られます(規則第62条の6の括弧書き)。危険物取扱者や危険物施設保安員であるだけでは足りません。
- 地下貯蔵タンク・二重殻タンクの強化プラスチック製外殻の漏れの点検
- 地下埋設配管の漏れの点検
- 移動貯蔵タンクの漏れの点検
- 第3種の固定式の泡消火設備を設ける屋外タンク貯蔵所で行う、泡の適正な放出を確認する一体的な点検(泡の発泡機構、泡消火薬剤の性状・性能の確認等に関する知識・技能が必要)
点検記録
(8) 記録には、点検をした製造所等の名称、点検の方法と結果、点検年月日、点検を行った危険物取扱者・危険物施設保安員または点検に立ち会った危険物取扱者の氏名の4項目を記載します(危険物の規制に関する規則第62条の7)。次回点検予定日は法定の記載事項ではありません。
(9) 保存期間は点検の種類ごとに異なります(規則第62条の8)。「3年間」は原則であって全部ではありません。
| 点検の種類 | 記録の保存期間 |
|---|---|
| 屋外貯蔵タンクの内部点検 | 26年間(周期15年の適用を受けた場合は30年間) |
| 移動貯蔵タンクの漏れの点検 | 10年間 |
| 地下貯蔵タンク・二重殻タンクの強化プラスチック製外殻の漏れの点検 | 3年間 |
| 地下埋設配管の漏れの点検 | 3年間 |
| 上記以外の点検(通常の定期点検) | 3年間 |
漏れの点検
(10) 「1年に1回以上」は通常の定期点検の周期です。漏れの点検は、通常の定期点検に加えて行うもので、周期が別に定められています(規則第62条の5の2から第62条の5の4)。
| 漏れの点検の対象 | 周期 |
|---|---|
| 地下貯蔵タンク | 1年以内に1回以上。完成検査を受けた日から15年を超えないもの、または危険物の漏れを覚知し漏えい拡散を防止するための告示で定める措置を講じたものは3年 |
| 二重殻タンクの強化プラスチック製外殻 | 3年以内に1回以上 |
| 地下埋設配管 | 1年以内に1回以上。完成検査を受けた日から15年を超えないもの、または上と同じ告示で定める措置を講じたものは3年 |
| 移動貯蔵タンク | 5年以内に1回以上 |
(11) 二重殻タンクの内殻、危険物の微少な漏れを検知し漏えい拡散を防止するための告示で定める措置が講じられた地下貯蔵タンクおよび地下埋設配管、外殻と地下貯蔵タンクとの間げきに漏れ検知用の液体が満たされている二重殻タンクの強化プラスチック製外殻は、漏れの点検の対象から除かれます。
内部点検
(12) 内部点検は、屋外貯蔵タンクの内部を点検するもので、通常の定期点検に加えて行います(危険物の規制に関する規則第62条の5)。市町村長等が行う保安検査と混同しやすいのですが、内部点検はあくまで所有者・管理者・占有者が行う定期点検の一種です。
(13) 対象は、引火点を有する液体の危険物を貯蔵し、または取り扱う屋外タンク貯蔵所(岩盤タンクに係るもの・海上タンクに係るものを除く)で、容量が1,000kL以上1万kL未満のものです。1万kL以上の特定屋外タンク貯蔵所は市町村長等の保安検査の対象になるため、内部点検の対象は「1万kL未満」で切れます。
(14) 周期・延長・記録は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 起算日 | 設置の許可に係る完成検査済証の交付日、直近の内部点検を行った日、または保安検査を受けた日 |
| 原則の周期 | 起算日から13年を超えない日までの間に1回以上 |
| 15年になる場合 | タンク内部のコーティング等による腐食防止の状況(規則第62条の2の2第1項第1号)または危険物の貯蔵管理等の状況(同項第2号)に関する保安のための措置を講じ、あらかじめ市町村長等へ届け出たとき |
| さらなる延長 | 期間内に内部点検を行うことが困難で、その旨を市町村長等へ届け出たときは2年を限度に延長できる |
| 記録の保存 | 26年間(15年の適用を受けた場合は30年間) |
内部点検は「13年(届出により15年)」「記録は26年(同30年)」と、通常の定期点検の「1年・3年」とはけたが違います。数字の組み合わせで問われやすい部分です。
実施主体の位置づけ
(15) 定期点検は所有者・管理者・占有者が自ら行う点検です。同じ「点検・検査」でも、保安検査は市町村長等が行う検査で、対象も周期も別に定められています。内部点検は名前が紛らわしいものの、市町村長等ではなく所有者等が行うため、定期点検の側に属します。両者の対比は「設置・変更・検査」の解説にまとめています。
根拠:消防法第14条の3の2、危険物の規制に関する政令第8条の3・第8条の5、危険物の規制に関する規則第9条の2・第62条の2の2・第62条の4から第62条の8。