消防法別表第一の備考
消防法別表第一は、第1類から第6類までの「性質」と「品名」を掲げています。その直後にある備考1〜21は、表中の用語を法的に定義し、試験による判定、みなし規定、除外、引火点の境界などを定めています。品名だけでなく、備考で定める性状を満たして初めて消防法上の危険物に該当するのが原則です。
備考1〜21の全体像
| 備考 | 対象 | 試験で押さえる要点 |
|---|---|---|
| 1 | 酸化性固体 | 固体で、酸化力の潜在的危険性または衝撃敏感性について所定の性状を示すもの |
| 2 | 可燃性固体 | 固体で、火炎による着火危険性について所定の性状を示すもの、または引火性を示すもの |
| 3 | 鉄粉 | 鉄の粉。ただし、粒度等を考慮して総務省令で定めるものを除く |
| 4 | 第2類のみなし | 硫化りん、赤りん、硫黄、鉄粉は、可燃性固体の性状を示すものとみなす |
| 5 | 金属粉 | アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、マグネシウム以外の金属の粉。一定の粒度等のものを除く |
| 6 | マグネシウム | マグネシウムとその含有物のうち、形状等を考慮して総務省令で定めるものを除く |
| 7 | 引火性固体 | 固形アルコールなど、1気圧で引火点40℃未満のもの |
| 8 | 自然発火性物質及び禁水性物質 | 固体または液体で、空気中の発火危険性または水との反応危険性について所定の性状を示すもの |
| 9 | 第3類のみなし | カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、黄りんは備考8の性状を示すものとみなす |
| 10 | 引火性液体 | 液体で、所定の引火点測定試験において引火性を示すもの |
| 11 | 特殊引火物 | 発火点100℃以下、または引火点−20℃以下かつ沸点40℃以下 |
| 12 | 第1石油類 | 1気圧で引火点21℃未満 |
| 13 | アルコール類 | 炭素数1〜3の飽和一価アルコール。変性アルコールを含み、所定のものを除く |
| 14 | 第2石油類 | 1気圧で引火点21℃以上70℃未満。所定の塗料類等を除く |
| 15 | 第3石油類 | 1気圧で引火点70℃以上200℃未満。所定の塗料類等を除く |
| 16 | 第4石油類 | 1気圧で引火点200℃以上250℃未満。所定の塗料類等を除く |
| 17 | 動植物油類 | 動物の脂肉等または植物の種子・果肉から抽出した、引火点250℃未満のもの。所定の方法で貯蔵保管されるものを除く |
| 18 | 自己反応性物質 | 固体または液体で、爆発危険性または加熱分解の激しさについて所定の性状を示すもの |
| 19 | 第5類含有物の除外 | 有機過酸化物を含有するもののうち、不活性固体を含有し総務省令で定めるものを除く |
| 20 | 酸化性液体 | 液体で、酸化力の潜在的危険性について所定の性状を示すもの |
| 21 | 複数の性状を持つ物品 | 2以上の性状を有する物品が属する品名は総務省令で定める |
物の状態と第1類・第2類
(1) 備考1でいう「固体」は、1気圧・20℃で液状のもの、20℃を超え40℃以下で液状となるもの、1気圧・20℃で気体状のものを除いたものです。第1類はこの固体について酸化力または衝撃敏感性を判定します。
(2) 第2類の可燃性固体は、固体について小ガス炎などによる着火危険性、または引火点測定による引火危険性を判定する区分です。「固体は引火しない」と決め付けず、引火性固体という品名があることに注意します。
(3) 鉄粉は「鉄の粉」、金属粉はアルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、マグネシウム以外の金属の粉です。したがって、鉄粉は金属粉の代表ではなく別の法定品名です。アルミニウム粉や亜鉛粉は金属粉に含まれますが、一定の粒度等のものは省令で除外されます。
(4) 引火性固体は、固形アルコールなど、1気圧で引火点40℃未満のものです。第2類の「可燃性固体」という類の中に「引火性固体」という品名がある二段構造を区別します。
第3類の試験とみなし
(5) 自然発火性物質及び禁水性物質は、固体または液体について、空気中で発火する危険性または水と接触して発火・可燃性ガスを発生する危険性を試験します。ただし、カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、黄りんは、その性状を示すものとみなされます。
第4類の境界値
(6) 引火性液体は、所定の引火点測定試験で引火性を示す液体です。第3石油類、第4石油類、動植物油類は、1気圧・20℃で液状であるものに限るという条件もあります。
(7) 特殊引火物は、1気圧で発火点100℃以下のもの、または引火点−20℃以下かつ沸点40℃以下のものです。「または」と「かつ」の位置を取り違えないようにします。
(8) 石油類の引火点区分は、第1石油類が21℃未満、第2石油類が21℃以上70℃未満、第3石油類が70℃以上200℃未満、第4石油類が200℃以上250℃未満です。境界値は上の区分には含まれず、次の区分に含まれます。
(9) アルコール類は、1分子を構成する炭素原子が1〜3個の飽和一価アルコールです。メタノール、エタノール、1-プロパノールなどが代表で、多価アルコールや炭素数4以上のアルコールを名称だけでこの品名に入れてはいけません。
(10) 動植物油類は、動物の脂肉等または植物の種子・果肉から抽出したもので、1気圧で引火点250℃未満のものです。ただし、総務省令で定める方法で貯蔵保管されているものは除かれます。
第5類・第6類と複数性状
(11) 第5類の自己反応性物質は、固体または液体について爆発危険性または加熱分解の激しさを判定します。第6類の酸化性液体は、液体について酸化力の潜在的危険性を判定します。
(12) 1つの物品が別表第一の性質欄に掲げる性状を2以上持つ場合、どの品名に属するかは総務省令で定めます。製造者や取扱者が任意に有利な類を選べるわけではありません。