貯蔵・取扱いの基準
消防法第10条第3項は「製造所等においてする危険物の貯蔵又は取扱いは、政令で定める技術上の基準に従ってこれをしなければならない」と定めています。その政令が第24条から第27条までで、次の3段階の構造になっています。
| 段階 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| ① 通則 | 政令第24条 | 貯蔵・取扱いのすべてに共通する基準(14項目) |
| ② 類ごとの共通基準 | 政令第25条 | 第1類から第6類まで、類ごとに共通する基準 |
| ③ 個別基準 | 政令第26条(貯蔵)・第27条(取扱い) | 貯蔵の基準、取扱い(製造・詰替え・消費・廃棄・施設別)の基準 |
- (1) 貯蔵・取扱いの基準は、通則(政令第24条)→類ごとの共通基準(政令第25条)→貯蔵の基準(政令第26条)・取扱いの基準(政令第27条)の3段階で構成されている。e-Gov「消防法 第10条第3項」
① すべてに共通する基準(政令第24条 通則)
| 号 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 許可または届出に係る品名以外の危険物、許可等に係る数量・指定数量の倍数を超える危険物を貯蔵・取り扱わない |
| 2 | みだりに火気を使用しない |
| 3 | 係員以外の者をみだりに出入りさせない |
| 4 | 常に整理および清掃を行い、みだりに空箱その他の不必要な物件を置かない |
| 4の2 | 貯留設備・油分離装置にたまった危険物は、あふれないように随時くみ上げる |
| 5 | 危険物のくず・かす等は、1日に1回以上、危険物の性質に応じて安全な場所で廃棄その他適当な処置をする |
| 6 | 危険物の性質に応じ、遮光または換気を行う |
| 7 | 温度計・湿度計・圧力計その他の計器を監視し、適正な温度・湿度・圧力を保つ |
| 8 | 危険物が漏れ、あふれ、飛散しないよう必要な措置を講ずる |
| 9 | 変質・異物の混入等により危険性が増大しないよう必要な措置を講ずる |
| 10 | 危険物が残存し、または残存しているおそれのある設備・機械器具・容器等を修理する場合は、安全な場所で危険物を完全に除去した後に行う |
| 11 | 容器は、危険物の性質に適応し、破損・腐食・さけめ等がないものとする |
| 12 | 容器をみだりに転倒・落下させ、衝撃を加え、引きずる等の粗暴な行為をしない |
| 13 | 可燃性の液体・蒸気・ガスが漏れ、もしくは滞留するおそれのある場所、可燃性の微粉が著しく浮遊するおそれのある場所では、電線と電気器具を完全に接続し、火花を発する機械器具・工具・履物等を使用しない |
| 14 | 危険物を保護液中に保存する場合は、危険物が保護液から露出しないようにする |
- (2) 通則では、許可・届出に係る品名以外の危険物や数量超過の貯蔵取扱いの禁止、みだりな火気使用の禁止、整理清掃、計器監視による温度等の管理、容器の健全性、保護液からの露出禁止などが定められている。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第24条」
- (3) 危険物のくず・かす等は、1日に1回以上、危険物の性質に応じて安全な場所で廃棄その他適当な処置をしなければならない。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第24条第5号」
- (4) 危険物が残存し、または残存しているおそれのある設備・機械器具・容器等を修理するときは、安全な場所において危険物を完全に除去した後に行う。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第24条第10号」
- (5) 可燃性の蒸気等が滞留するおそれのある場所では、電線と電気器具を完全に接続し、火花を発する機械器具・工具・履物等を使用してはならない。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第24条第13号」
- (6) 危険物を保護液中に保存する場合は、危険物が保護液から露出しないようにする。カリウム・ナトリウムの灯油中保存、黄りんの水中保存が典型例である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第24条第14号」
② 類ごとに共通する基準(政令第25条)
類ごとの基準は、その類の危険性を裏返した内容です。
| 類 | 避けるべきこと |
|---|---|
| 第1類 | 可燃物との接触・混合、分解を促す物品との接近、過熱・衝撃・摩擦。アルカリ金属の過酸化物等は水との接触も避ける |
| 第2類 | 酸化剤との接触・混合、炎・火花・高温体との接近、過熱。鉄粉・金属粉・マグネシウム等は水または酸との接触も避ける。引火性固体はみだりに蒸気を発生させない |
| 第3類 | 自然発火性物品(自然発火性試験で所定の性状を示すもの、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、黄りん)は炎・火花・高温体との接近、過熱、空気との接触を避ける。禁水性物品は水との接触を避ける |
| 第4類 | 炎・火花・高温体との接近、過熱を避け、みだりに蒸気を発生させない |
| 第5類 | 炎・火花・高温体との接近、過熱、衝撃・摩擦を避ける |
| 第6類 | 可燃物との接触・混合、分解を促す物品との接近、過熱を避ける |
- (7) 類ごとの基準は、第1類・第6類が「可燃物との接触・混合を避ける」、第2類・第4類・第5類が「炎・火花・高温体を避ける」、第3類が「空気または水との接触を避ける」という形で整理できる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第25条第1項」
- (8) 類ごとの基準は、その基準によらないことが通常である場合には適用されない。この場合は、災害の発生を防止するため十分な措置を講じなければならない。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第25条第2項」
③ 貯蔵の基準(政令第26条)
貯蔵所での混載・混貯
- (9) 貯蔵所においては、危険物以外の物品を貯蔵してはならない(総務省令で定める場合を除く)。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第1号」
- (10) 法別表第一に掲げる類を異にする危険物は、同一の貯蔵所(耐火構造の隔壁で完全に区分された室が2以上ある貯蔵所では同一の室)において貯蔵してはならない(総務省令で定める場合を除く)。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第1号の2」
- (11) 第3類のうち黄りんその他水中に貯蔵する物品と禁水性物品は、同一の貯蔵所において貯蔵してはならない。この禁止に例外はない。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第1号の3」
類を異にする危険物を同時に貯蔵できる例外(規則第39条第1号)は、屋内貯蔵所または屋外貯蔵所で類ごとに取りまとめ、相互に1m以上の間隔を置く場合に限り、次の組合せです。
| 組合せ |
|---|
| 第1類(アルカリ金属の過酸化物等を除く)と第5類 |
| 第1類と第6類 |
| 第2類と自然発火性物品(黄りんまたはこれを含有するものに限る) |
| 第2類のうち引火性固体と第4類 |
| アルキルアルミニウム等と、第4類のうちアルキルアルミニウム・アルキルリチウムのいずれかを含有するもの |
| 第4類のうち有機過酸化物等と、第5類のうち有機過酸化物等 |
| 第4類と、第5類のうち1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパン等 |
- (12) 類を異にする危険物を同一の貯蔵所で貯蔵できるのは、屋内貯蔵所または屋外貯蔵所で類ごとに取りまとめて1m以上の間隔を置く場合の、規則第39条第1号が列挙する7組合せに限られる。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第39条」
屋内貯蔵所・屋外貯蔵所
- (13) 屋内貯蔵所・屋外貯蔵所では、危険物は総務省令の定めるところにより容器に収納して貯蔵する。容器に収納しないことができるのは、塊状の硫黄等など規則第40条が定めるものに限られる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第2号・第11号」
- (14) 屋内貯蔵所で、同一品名の自然発火するおそれのある危険物または災害が著しく増大するおそれのある危険物を多量に貯蔵するときは、指定数量の10倍以下ごとに区分し、0.3m以上の間隔を置いて貯蔵する。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第3号」
- (15) 容器を積み重ねる高さの上限は原則3mである。第4類のうち第3石油類・第4石油類・動植物油類を収納する容器のみを積み重ねる場合は4m、機械により荷役する構造を有する容器のみを積み重ねる場合は6mとなる。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第40条の2」
- (16) 屋内貯蔵所では、容器に収納して貯蔵する危険物の温度が55℃を超えないよう必要な措置を講ずる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第3号の3」
- (17) 塊状の硫黄等を囲いの内側で容器に収納しないで貯蔵する屋外貯蔵所では、囲いの高さ以下に貯蔵し、あふれ・飛散を防ぐため囲い全体を難燃性または不燃性のシートで覆い、シートを囲いに固着させる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第12号」
タンク
- (18) 屋外貯蔵タンク・屋内貯蔵タンク・地下貯蔵タンク・簡易貯蔵タンクの計量口は、計量するとき以外は閉鎖しておく。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第4号」
- (19) 屋外貯蔵タンク・屋内貯蔵タンク・地下貯蔵タンクの元弁および注入口の弁または蓋は、危険物を入れ、または出すとき以外は閉鎖しておく。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第5号」
- (20) 屋外貯蔵タンクの周囲に防油堤がある場合は、その水抜口を通常は閉鎖しておき、防油堤の内部に滞油・滞水した場合は遅滞なく排出する。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第6号」
移動タンク貯蔵所
- (21) 移動貯蔵タンクには、貯蔵し、または取り扱う危険物の類・品名・最大数量を表示する。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第6号の2」
- (22) 移動貯蔵タンクとその安全装置・附属の配管は、裂け目・結合不良・極端な変形・注入ホースの切損等による漏れが起こらないようにし、底弁は使用時以外は完全に閉鎖しておく。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第7号」
- (23) 被けん引自動車に固定された移動貯蔵タンクに危険物を貯蔵するときは、けん引自動車を結合しておく(総務省令で定める場合を除く)。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第8号」
- (24) 移動タンク貯蔵所には、完成検査済証、定期点検の点検記録その他総務省令で定める書類を備え付ける。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第9号」
- (25) アルキルアルミニウム、アルキルリチウムその他総務省令で定める危険物を貯蔵・取り扱う移動タンク貯蔵所には、緊急時の連絡先その他応急措置に必要な事項を記載した書類と総務省令で定める用具を備え付ける。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第26条第1項第10号」
施設基準との違い
- (26) 「保安距離を確保する」「防油堤を設ける」は位置・構造・設備の基準(消防法第10条第4項)、「火気を使用しない」「容器を粗暴に扱わない」は貯蔵・取扱いの基準(同条第3項)である。施設が完成検査に適合した後も、日々の作業では貯蔵・取扱いの基準を守り続けなければならない。e-Gov「消防法 第10条」
試験での頻出ポイント
- 数値は「くず・かすは1日1回以上」「自然発火のおそれのあるものは倍数10以下ごと・0.3m以上」「屋内貯蔵所の容器の温度は55℃以下」「積み重ね3m(第3・第4石油類・動植物油類は4m、機械荷役容器は6m)」「混貯の間隔は1m以上」の5点が定番です。
- 「類を異にする危険物は同一の貯蔵所に貯蔵しない」が原則。例外は7組合せで、いずれも1m以上の間隔が条件です。
- 黄りん(水中貯蔵)と禁水性物品は例外なく同一貯蔵所に置けません。
- 「元弁・注入口の弁・計量口は使用時以外閉鎖」「防油堤の水抜口は通常閉鎖」は、閉じるか開けるかを入れ替えた選択肢が定番です。
出典・参考
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する政令 第24条〜第27条
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する規則
- e-Gov法令検索 消防法 第10条